静かなる思い 7
「ユウ君!!」
リュッカは叫ぶがユウトの耳には届かない。
「ぐあ」
ユウトが吹き飛ばされて、木にぶつけられた。
蜻蛉はユウトを倒したと思ったのか蜻蛉はゆっくりとリュッカに近づいていく。
「させるか!!」
ユウトが蜻蛉に飛び蹴りをした。
蜻蛉は不意を突かれたのか、ユウトの蹴りがクリーンヒットした。
身体中から血を出してもなお立ち上がり、戦っていた。
リュッカが声をかけても、ユウトには届かない。
(このままだとユウ君が―)
でも、今の自分ではユウトを助けることができない。
(何が学園最強ですか!!ユウ君を助けることもできない。だからユウ君が頼ってくれない)
リュッカが茫然としている間にもユウトは蜻蛉と戦い傷ついていく。
(何か、何か水で、どんなに堅くても関係ないような水はないのですか!?)
ユウトを助ける逆転1手―
(貫通力を高くする?いえ、それだけではあれは倒すことはできません)
さっきの水を纏わせた鞭は、貫通力が1番高い。
それでも無傷だったから貫通力を上げても駄目だろう。
と、なると、
(学園長のように毒を使う?でも―)
学園長が使うあの魔法は元を辿れば水属性、
だけど特異魔法なのでリュッカには使えない。
(毒に近いけど、毒ではない水。そんな水―)
あった。でも、あれ創るとなると、特異魔法でなければ創れないだろう。
でも、それしか手がない。
「キェェェ」
蜻蛉が目の前まで来ていた。
(どうして、リュッカばかり狙う?)
ユウトが攻撃をすれば反撃はするが、基本的にリュッカの方ばかり狙っているようだ。
(何かあるのか?)
リュッカに蜻蛉を引き寄せる何かが。
それとも―。
ユウトは考えうる最悪のパターンを考えた。
(させるかよ!!)
ユウトは自分の身体がボロボロになっても立ち上がり、蜻蛉に攻撃を続けた。
蜻蛉が尾で薙ぎ払い、ユウトを木にぶつけた。
「あぐっ」
出血が多く、木にぶつかったことにより意識が飛びそうになる。
(まだ、まだやられるわけにはいかない)
ユウトは右親指の爪を剥いだ。
リュッカの目の前に蜻蛉がいて、今にも襲いかかろうとしていた。
「俺の幼馴染に手を出すな!!」
(俺はどうなってもいい、リュッカさえ助かれば)
ユウトは血が溢れ出る腕を引き絞り、矢を放つかの如く蜻蛉を殴った。
蜻蛉は木々を折りながら、飛ばされる。
「くっ」
ユウトは、膝を地面ついた。
背中に冷や汗が通る。
腕も脚も、もう限界のようだ。
出血の所為で目が霞む。
(まだ、奴がいるのに)
ぎゅっ
リュッカがユウトを庇うように抱きしめる。
「―!!」
耳が聞こえないから何を言っているかわからないが、涙目だったが、何か覚悟のある目だった。
「―」
何かを言いリュッカはユウトを放した。
リュッカは鞭の先を触り、魔法をかけた。
「りゅ…リュッカ…」
リュッカは鞭で地面を叩いた。
鞭の当たった地面は泡を吹きながら溶けた。
それを確認するとリュッカは、ユウトの攻撃を受け、起き上がろうとしている蜻蛉を睨んだ。
「―!!」
リュッカは蜻蛉に向かって地面を溶かした鞭を振り下ろした。
鞭は簡単に蜻蛉の羽を斬り落とした。
(いや、あれは斬ったんじゃない、溶かしたのか)
羽を斬り落とされた蜻蛉は苦しみながら地面でもがいていた。
そんな様子を気にもしないでリュッカは更に鞭を振り下ろした。
鞭は鋭くそして的確に蜻蛉を削り取る。
1度も外すことなく蜻蛉を細切れにして蜻蛉を消し去った。
蜻蛉が光の粒子となり、消えたことによって、ユウトは気が抜けてしまい意識を繋ぎ留められなくなり、闇へと落ちていった。
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