静かなる思い 2
朝食を食べ終えたユウト達は依頼板のところに行った。
今のところ依頼板に張ってあるのは、ずっとあるSランクの依頼と新たに張られたAランクの依頼があった。
「Sランクの依頼はまず無理だからAランクの依頼だな」
全員でAランクの依頼を見た。
―ユニコーンの角の採取
―魔石の採取
―火山カカオの採取
その3つがあった。
「魔石と火山ココアはここからじゃあ遠すぎるよな」
「そうね」
「となると、ユニコーンの角か。みんな、それでもいいか?」
ユウトが訊くと全員頷いた。
「じゃあ、準備をしたら集合っていうことで」
ユウト達は準備のため解散をした。
学園を出発して2時間が経つ。
ユウト達は幻獣の森に向けて山を登っていた。
「はあ、はあ。ユウト君、あとどれくらいで着くの?」
レイシアが息を切らせながら訊く。
「あと少しだよ」
ユウトはレイシアの成長ぶりに感心しながら言う。
数日前まで少し歩いただけで疲れていたのに、数日間鍛えたことによって山を登っても簡単には疲れなくなった。
「ここ崩れやすくなっているな。帰るときも気をつけないとな」
ユウトは独り言を言う。
そうしている内に山を登りきって森の中に入っていた。
「ユウト、ここにユニコーンがいるのよね?」
「ああ」
「でもどうやって呼び寄せるの?」
「普通に呼び寄せるよ。ユニコーンは清らかな乙女がいれば出てくるからな。こんだけ清らかな美少女がいれば、1匹や2匹くらい出てくるだろ」
ユウトが美少女と言ったときフレイヤ達は顔を赤くしたがユウトは気にしない。
またしばらく歩くと小さな湖に着いた。
「ここなら良さそうだな。ここを中心に散策をしようか」
「わかったわ。でも分担はどうするの?」
「フレイヤは北側、エレナは南側、スティアは東側、リュッカは西側、レイシアはみんなのサポートを頼む。俺はユニコーンを呼び出せないから、ここでみんなの荷物でも見ているよ」
「わかったわ」
「わかりましたわ」
「わかった」
「わかりました」
「わかっ―。って、ユウト君、あれ!!」
レイシアが指をさす。
指をさした方を見てみると、白い毛並みに、鋭く天に向かって伸びている角が特徴のユニコーンが悠々とユウト達の方向に向かって歩いていた。
「みんな、頼む」
ユウトは後ろに下がった。
「あたしがやるわ」
フレイヤがユニコーンに近づいて行った。
だけど、ユニコーンはフレイヤを無視して歩く。
「!?」
フレイヤは驚愕していた。
「どうしてよ!!」
「フレイヤ、あなたでは清らかさが足りないのですわ。今度はわたくしが行きますわ」
エレナは髪を掻き上げ、ユニコーンに近づいたがユニコーンはエレナには見向きもしないで歩く。
「君達ではやっぱり駄目だな。学園の風紀を乱しているからな。私が行こう」
意気揚々とスティアはユニコーンに近づいていく。
だが、やはりユニコーンはスティアも無視して歩く。
(おかしい。どうして無視するんだ?)
ユウトは考えていた。
清らかな乙女を全員が満たしているはず、ユニコーンに好みがあるとは聞いたことはないが、
(残りの2人に呼び寄せられた?それとも―)
一応、可能性はないというわけでもないが、まずは2人にやってもらうことにした。
「リュッカ、レイシア。それぞれ、違う方に移動してくれ」
「わかりました」
「わかったわ」
リュッカは右に、レイシアは左に移動した。
でも、ユニコーンは2人を見向きもしないでユウトの方へ歩いた。
(こうなると、やっぱり彼女に呼び寄せられた?)
ユウトは自分の左腰に差している白い魔剣に触れた。
だけどユウトの考えは否定された。
「ブロロ」
ユニコーンがユウトの右腰辺りに身体を擦りつけていた。
「「「「「えっ?」」」」」
フレイヤ達は何がなんなのかわからない様子だった。
ユウトは苦笑いをしながらユニコーンを見ていた。
「ユニコーンには、こいつのように男に寄ってくるやつがいるんだよ」
「へえー」
フレイヤはユニコーンを感心したように見ていた。
「ユウ君どうするのですか?」
「俺になついているなら逃げなくて好都合だから、俺がこいつの角を切る」
ユウトは懐からナイフを取り出し、ユニコーンの角を切った。
ユニコーンの角は小型のナイフでも簡単に切れるくらいの堅さ、
でも強く握っても簡単に崩れるようなものでもなく、見た目に反して軽い角だ。
「フレイヤ、これ預かってくれ」
ユウトはフレイヤにユニコーンの角を渡した。
「わかったわ」
フレイヤは受け取った角を魔法でしまった。
「よし。じゃあ帰るか?」
「「「「「ええ」」」」」
ユウトの問いかけに全員が賛同の返事をした。
ユニコーンは角を切られたことに驚いていたのかどこかにいってしまった。




