刺雷の騎士2
トントン
学園長室のドアが叩かれた。
「2年Aクラス エレナ・ミルレストです」
「入りなさい」
学園長はドアの向こう側に向かって言った。
「失礼します」
ドアを開けて入ってきたのは、金髪碧眼で白魚のような指とすらりとした腕と脚をしていて、顔は可愛らしく、妖精のようで、ひとつひとつの仕草にも気品の感じられるような上品な女の子だった。
ユウトがその女の子に見とれていると、その視線に気がついたのかユウトに鋭い視線を送る。
「君たちは初対面だったね。エレナ君、彼がユウト・フィルナンス君だ。ユウト君、彼女がエレナ・ミルレスト君だ」
「エレナ・ミルレストさんですか」
ユウトはあまり知らないって様子で言う。
「名前で言ってもわからないか。なら〈刺雷の騎士〉って言ったらわかるかい?」
「はい。Aクラスでもトップクラスの実力を持ち、レイピア型の魔剣と雷属性の魔法を使う方ですよね?」
「そうだ。エレナ君はユウト君のことは知っているかな?」
今度はエレナの方を見て学園長が言う。
「はい。わたくしは彼のことが嫌いなので」
エレナはユウトを睨みながら言う。
「どうして嫌いなのか教えてくれないかい」
学園長がエレナに訊ねる。
「彼は魔法が使えなくて異端者と呼ばれていて最低ランクのFだからですわ。私は弱い人が嫌いですわ。そして、なによりも罵倒されてもヘラヘラして努力しない人は嫌いですわ」
ユウトを睨みながら強い口調で言う。
「は、はは」
ユウトは目の前で自分のことが嫌いだとはっきり言われたので苦笑いをした。
「だから、そういうところが嫌いなのですわ」
エレナが怒りながら言う。
「学園長、わたくし、あの件は参加させてもらいます」
エレナはそう言って、学園長室を出て行った。
それを見届けてから、ユウトは学園長に向き直して、
「学園長、さっき言っていたチャンスってなんですか?」
「ああ、そういえばそんな話をしていたね。君に与えるチャンスは私たち教師陣がしていした生徒と戦って、勝てば、学園に残れるというものだよ」
学園長がユウトを試すように言う。
「僕は誰と戦えばいいのですか?」
「エレナ・ミルレストだ」
「ええっ!?」
ユウトは予想外の人物の名前を言われたので驚いてしまう。
そんな反応を見て、学園長は笑う。
「君がそんなに驚いてくれるならこっちとしても彼女に依頼したかいがあったものだよ」
「驚いてもしょうがありません。彼女と戦う日にちはいつですか?」
「明日だ」
学園長はきっぱりと言う。
「明日ですか」
ユウトは何かを考えながら言う。
「あと、その使い魔は禁止だ」
学園長はカシャを指さす。
「カシャも禁止ですか」
ユウトはますます考える。
「まあ、それくらいしても君なら彼女に勝てるだろう」
「そんな彼女はAクラスでもトップ成績なのですよ」
ユウトは訴えるように言う。
「だったら、その〈名無しの剣〉の〈名前〉を言えばいいじゃないのか。その魔剣クラスの魔装具なんて片手で数えられるくらいしか発見されてない。しかも〈名前〉を解放しているものなど君の魔剣しかないだろう」
「僕にはこの剣の名前を言う資格がありません」
「学生風情に魔剣の力を解放しなくても君なら勝てるか、なんていったって君はこの私にその状態で引き分けたのだから」
「でも学園長は手加減していましたよね」
「ああ、だが魔法を使う相手に魔法を使わないで引き分けるだけでも並大抵の奴はできないだろう」
「そうですけど…」
「まあ、君は勝つだろう。今日はもういいから帰りなさい」
「わかりました」
ユウトはそう言い、学園長室から出て行った。
「誰もユウト・フィルナンスがアレックス・フェルニティだとは思わないだろうな。彼の実力を知らないのだから」
学園長は1人学園長室で言う。




