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炎より熱く 4

  ユウト達が湖まで行くと、フレイヤ達は湖から出たゼリー状の触手に捕まり宙に浮いていた。

「あんっ…ちょっとどこ触っているのよ!!」

「ひゃん…止めて下さい。そ、そこはまだユウ君に触ってもらったことがない場所です。だからやめてくださ―んっ」

「あん…わ、わたくしを放しなさい」

「んっ…くっ…放しなさい」

 それぞれゼリー状の触手に何かされているようだ。

 なるべく早く助けた方が良さそうだ。

「スティア、フレイヤ達の近くのあれ凍らせれるか?」

「う、うむ。できないことは無いが…」

「そうか。じゃあ俺の合図でリュッカ、フレイヤ、エレナ、レイシアの順番に凍らせてくれ」

「第1階梯しか使えないがいいか?」

「ああ。いいぞ」

「なら、私に任せてくれ」

「じゃあ、いくぞ。3・2・1・スタート」

 それを合図にユウトは駆けだし、スティアは弓を引き、狙いを定めた。

 スティアは、ユウトが言った通りにリュッカを捕まえている触手凍らせた。

 ユウトはスティアがゼリー状の触手を凍らせた瞬間、触手を斬り裂き、リュッカを解放した。

 次にフレイヤとエレナを同じように解放して、

 最後にレイシアを捕まえている触手を斬り裂き、お姫様だっこをして地面におりた。

「ふう」

 レイシアを降ろして、ユウトは一息ついた。

「なんで、レイシアだけお姫様だっこをするのよ!!」

「普通に考えたらそうするだろ?」

 ユウトは周りに同意を求めたが、レイシア以外はフレイヤと同じようにジト目でユウトを見ていた。

 レイシアは顔を赤くしてうっとりしていた。

「なんだよ、レイシアは運動苦手だからあの高さから落ちたら怪我するだろ。だからああやったんだよ」

 そう言うとフレイヤ達はほっとした表情をした。

 だけどレイシアが代わりにむっと頬を膨らませた。

「そうならそうと早く言いなさいよ」

「普通ならわかるだろ」

「そうですね。冷静さが欠けていました」

「どうせ私は運動オンチですよーだ」

 レイシアは拗ねてしまったようだ。

「拗ねんなよ。つーか、今から精霊を呼ぶからな」

 ユウトは湖に靴を脱いで入り、

「ディーネ出てこいよ。俺だとわかっているんだろ?」

 ユウトがそう言うと、湖の中から水色の髪で白いワンピースを着た10歳くらいの女の子が出てきた。

「ユウトお兄ちゃん、久しぶりです」

「そうだな」

「ユウトお兄ちゃん、この人達は誰ですか?ユウトお兄ちゃんの恋人ですか?」

 ディーネはフレイヤ達を見て言う。

「違うよ。チームメイトだよ」

「ユウトお兄ちゃん、それでチームメイトさん達を連れてどうしてここにきたのですか?」

「クッキーあげるから精霊の涙をくれないか?」

「いいですよ。ただユウトお兄ちゃんにお願いがあります」

「なんだ?」

「この―」

「ちょっと待って」

 ディーネの言葉を遮って、フレイヤが話しかけてくる。

「フレイヤどうした?」

「その子が水の精霊なの?」

「ああ。そうだよ」

 ユウトが言うとフレイヤ達はディーネを凝視する。

「精霊ってそれぞれの属性のもので身体ができていたよね?」

「ああ」

 水の精霊なら水で身体ができて、火の精霊なら火で身体ができている。

「でもその子は普通にあたし達と同じように肌があるよ」

「あなた達の知っている精霊の姿は私達の仮の姿です。私達の本当の姿はこっちなのです」

「あたし達に見せてもいいの?」

「はい。ユウトお兄ちゃんが連れてきた方達なのでいいです」

 天使のような笑顔でディーネが言う。

「それで、ディーネ。願いってなんだ?」

「はい。この湖にゴミを捨てられてしまいそれを拾ってほしいのです」

「わかった。ところで、さっきのあれは何だったんだ?」

「あれはこの人達の需要に答えただけです。人間の要望に答えてこそ精霊というものです」

「そうか。まあ精霊を馬鹿にしたからしょうがないな」

「なによ。あたし達が悪いってわけ?」

「まあ。そうだな。自分の属性ばかり自慢して、他の属性を蔑ろにするのは、どうかと思うぞ」

「でも、ユウト。他の家ならともかく、こいつらの家には負けたくないの」

「それはどうして?」

「あんた知らないの?あたし達の家の関係について」

「フレイヤ達の家の関係?」

 フレイヤのスカーレット家、エレナのミルレスト家、スティアのコルデリア家、レイシアのフィルニア王家、リュッカのフランドル家、共通しているのは古くから続く家ぐらいしか思いつかない。

「えーと、古くから続く名門どうし?」

 ユウトが首をかしげながら言うと、

「確かにわたくし達の家はあの魔王の頃から続く名門なのですわ。ですが、それだけでは―」

「それだけでなくて、私達の家は各属性を代表する家なのよ。フレイヤ達の家に負けるということは、私達の使う属性が負けるということになるの。だから負けるわけにはいかないの」

 エレナがすぐに答えてくれたが、途中でレイシアが遮って言う。

 エレナが言っていたあの魔王とは、千年前にこの大陸を統一した最強の魔法使いで、人々の憧れる英雄だ。

 レイシアが言っていたことは理解したが、さらに疑問が湧いてくる。

「大体はわかったけど、どうして王家のレイシアの家が伯爵家のフレイヤ達の家とが同等なんだ?」

 普通、身分の差があり、王家の娘と伯爵家の娘が魔法の属性で張り合うなんてありえないはずだ。

「あまり知られていないのですが、私達は遠い親戚なのです。私達は全員<魔王>の血筋を受け継いでいるのです」

<魔王>の息子達や部下が各地を統治していたが、とあることによって、それぞれがバラバラに国をつくった。それがこの王国や周辺の国を作った歴史。

 王家が魔王の血を受け継いでいるのは有名だが、まさかフレイヤ達までが魔王の子孫とは思わなかった。

「だから、あたし達の家は王家に忠義を果たすけど、身分は気にしないの」

「なるほどな」

 ユウトは納得した。

「みんなの状況はわかった。だけどチームなんだから仲良くしろよな」

 ユウトはチームメイトに向かって言う。

「「「「「無理」」」」」

 こういうときだけ息の合うチームメイトを見て、

 ユウトはため息をついて、

「んじゃあ。俺は湖のごみを拾ってくるよ。あとこれクッキーだからみんなで食べてくれ。カシャ、この剣に誰も触らないように見張って置いてくれ」

「にゃー」

 カシャはユウトの肩から降りた。

 ユウトはクッキーの入った袋をディーネに渡し、制服の上着を脱いで黒い半袖のシャツになり、魔剣を制服の上に置いて、湖の中に飛び込んで潜った。


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