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炎より熱く 3

 ユウト達は目的地に向かっていた。

「ユウト君、あとどれくらいで着くの?」

「あと、10分くらい歩けば着くぞ」

「長いわ。もうかれこれ30分も歩いているのよ。もう1歩も歩けないわ」

 もともとお姫様だったレイシアはユウト達と違い徒歩での旅に慣れていないのだ。

(もっとレイシアを鍛えないとならないよな)

「しょうがないな。ほら乗れよ」

 ユウトはそう言いしゃがんだ。

「え?」

 レイシアはよくわからないという顔をしていた。

「歩けないんだろ?だからおんぶしてやるって言っているんだよ」

「いいの?」

「ああ。でも今回だけだからな。次までに鍛えるからな」

 そうユウトが言うと、レイシアをおんぶした。

 だが、おんぶをしたとき、ユウトは数秒前の自分を責めたくなった。

 ふよん、ふよん。

 背中にやわらかいものが押しつけられた。

「ユウト君。私の胸の感触はどう?」

 レイシアがユウトの耳元で言う。

「……」

「私の胸は他の女の子より大きいのよ。立場も胸の大きさも王女なのよ」

「……」

「ねぇ、ユウト君。胸の大きい女の子は嫌い?」

 ユウトが黙って無心にしていると、レイシアが耳元でそう言い、耳を甘噛みした。

「なっ!?」

 ビックリしてユウトはレイシアを落としそうになった。

「ちょっと、落とさないでよ。ユウト君」

「お前が変なことしなかったら、落としそうにならなかったぞ」

「で、ユウト君。胸の大きい女の子は嫌い?」

「……」

 ユウトが黙っていると、

 ふよん、ふよん、ふよん。

 レイシアが胸を押しつけてくる。

「言わないともっと押しつけるわよ」

 レイシアが脅してくる。

 これ以上押しつけられても困るので答えることにした。

「…き、嫌いではない」

 小さな声でそう言うと、レイシアは満足したのか胸を背中から離した。

「ユウト、レイシア、遅い―。って、あんた達何しているのよ」

 フレイヤが怒りながら言ってくる。

 レイシアのペースで歩いているユウトとは違い、フレイヤ達は先に行っていた。

「レイシアが歩けないって言ったから、おんぶしているんだ」

 ユウトはフレイヤの方に向かって言う。

「レイシア、飛ばすから掴まっておけよ」

「ええ」

 レイシアはユウトにしっかり掴まった。

 それを確認してから、ユウトは駆けた。


 5分後、

 ユウト達は小さな湖の近くに着いた。

「この先に水の精霊が住んでいるんだけど、みんなは水の精霊を見たことあるか?」

「炎の精霊は見たことあるけど、水の精霊は見たことないわ」

「わたくしもないですわ」

「私もだ」

「私もよ」

「私は生家の近くで見ましたが、あまり憶えていません」

 どうやら誰も水の精霊の姿を見たことないようだ。

「そうか。みんなはどんな姿だと思う?」

「「「「「うーん」」」」」

 フレイヤ達は考えているようだ。

「私が見た水の精霊は女性の形をしていたような気がしますが、確か個体によって姿が違ったはずですから…」

「きっと、クラゲやタコのような触手たっぷりの軟体生物の形をしているわ」

 レイシアが問題発言をする。

「そうね。水属性とかいう陰湿な属性の精霊だもんね。そんな感じよね」

「水属性が陰湿と言いましたね」

 フレイヤの言葉にリュッカはむっとした顔をする。

「そうですわね。わたくしの使う雷属性に比べれば他の属性は華がありませんわ」

 エレナのその言葉は火に油を注ぐがごとく、他のチームメンバーを挑発する。

 その所為でますます空気が悪くなる。

「それは聞き捨てならないわね」

 レイシアまで不機嫌になっていた。

 自分の家の属性を馬鹿にされることは、彼女達にとって家を馬鹿にされているのと同じなのだろう。

「やはり、私の使う―」

「スティア、言いたいのはわかるが、これ以上油を注がないでくれ」

 ユウトがそう言うと、スティアはむっとしたが、これ以上チームの関係が悪くなるのは、駄目だと思ったのか黙ってくれた。

「みんな、喧嘩するなよ」

 ユウトがスティア以外に向かって言うが、誰も耳をかさない。

「つーか、もうそろそろ精霊の領域に入る―。って、みんな、かわせ!!」

 ユウトが叫ぶ。

 だがフレイヤ達は喧嘩して油断していた為、かわすのが遅れてゼリー状のものに捕まってしまい、湖の方向に引っ張られてしまった。

「クソ。スティア、追いかけるぞ!!」

「うむ」

 ユウトとスティアは湖まで駆けた。


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