足りない力2
次の日
ユウトがいつも通りにランニングをしていると、スティアがショートソードを振りまわしていた。
「スティア何しているんだ?」
「きゃ。ゆ、ユウト!?」
ユウトが声をかけると、スティアは驚いてショートソードを落としてしまった。
「危ないだろ。ほら、剣」
「すまない」
「何していたんだ?」
「剣の練習をな」
「剣の練習か。見せてくれよ」
「う、うむ」
スティアは右手でショートソードを右手に持って、回転斬りをした。
「ど、どうだ?」
「綺麗な回転斬りだと思うよ」
「やっぱり、ただの回転斬りに見えるか…」
「回転斬りじゃないのか?」
「うむ。蓮花の練習だ」
「蓮花ってアレックスの剣技のやつ?」
「うむ」
蓮花は魔法を纏った剣を回転斬りの要領で斬って、周辺に蓮の花の様な形をした氷の結晶や炎を作りだして、攻撃と防御を兼ねた技。
「なんで蓮花なんだ?」
「彼の技で1番簡単そうだったから」
(あー、蓮花は見た目だけは簡単そうだったよな)
でもやろうと思うと全くできなく、剣技の中でも難易度が高い技だ。
「でも、難しいと思うぞ」
「蓮花は天衣無縫に比べれば楽だと思う」
「天衣無縫と比べたら駄目だろ」
天衣無縫はただ斬るというだけの技だが、相手には消えたように見えて、気が付いたら斬られているという技だ。
「スティア、魔法をこの剣に魔法をかけてくれないか?」
「できるのか?」
「たぶんできると思う」
スティアはユウトの魔剣に魔法をかけた。
「んじゃあ、やってみるから少し離れてくれ」
「わかった」
スティアはユウトから離れた。
ユウトは右手で魔剣を持って、
「ふう」
ユウトは一息ついて、蓮花を放った。
カキンッ!!
ユウトを中心に蓮の花の形をした氷ができる。
「おお」
スティアは拍手する。
「案外できるもんだな」
「コツとかないのか?」
「コツか。あることにはあるが、やりながらの方がわかりやすいだろうから、剣を構えてくれないか?」
「うむ。わかった」
スティアはショートソードを構えた。
「スティア。もっと力抜いて、それだとできないぜ」
「ふぁあ。ゆ、ユウト近い」
ユウトはスティアの右腕を持つ。
「ますます力んでいるぞ。ほら、力を抜くんだ」
「こ、こうか?」
スティアはユウトに寄りかかる。
「それだと剣が振れないぞ」
「す、すまない」
「謝らなくてもいいから、ちゃんと構えて」
スティアはもう1度剣を構えた。
「いいかんじになったな」
「このままやればいいのか?」
「ああ。でも、イメージを大切にな」
「何をイメージすればいいのだ?」
「さっき、俺が作った氷の形をイメージするんだ」
「わかった」
ユウトはスティアから離れた。
スティアは眼を閉じて集中をする。
「ハッ!!」
眼を開き、回転斬りをした。
カキンッ!!
少しだけだが、蓮の花の形をした氷ができた。
「やったー」
「よかったな」
「うむ」
スティアが喜んでいるのを見て、ユウトは少しだけ嬉しかった。
(自分が考えた剣技でこんなに喜んでくれるとわな)
「なあ。ユウト」
「ん?」
見るとスティアは真面目そうな表情をしていた。
「魔獣を素手で倒したり、腕を怪我したと思ったら次の日には依頼をこなす為に出掛けたりするなんて、君は何者なんだ?」
「何者か…。難しい質問だね」
ユウトは苦笑いする。
「俺は俺じゃあ駄目かな?」
「また、はぐらかそうとしている」
「ははは…」
「しょうがない。ユウトが話したくなったら話してくれ」
「ああ」
「ここからが本題なのだが」
スティアは指を身体の前でもじもじ絡める。
「なんだ?」
「そ、そのだな。わ、私の―」
スティアは顔を真っ赤にしている。
「スティア、落ち着け。それだと何を言っているのかわからないぞ」
「す、すまない」
「ほら、ゆっくり言えよ」
「私の―」
スティアがもう1度言おうとしたとき、
ピンポンパンポン
『2年Fクラス ユウト・フィルナンスは至急学園長室まで来なさい』
放送がユウトを呼んでいた。
「ごめん。話はあとでまた聞くから」
「そうか」
スティアは悲しそうな表情でユウトを見つめる。
(そんな顔をされるとな…)
でも学園長が呼んでいるから行かないと。
「ユウト。学園長が呼んでいるのだぞ。早く行くのだ」
「ああ。じゃあまたあとで」
ユウトは学園長室に向かった。




