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刺雷の騎士1

「瞑想していたつもりだったのにいつの間にか寝ていたな。俺もまだまだ未熟だな」

 この夜のような黒髪の少年はユウト・フィルナンスだ。

「にしても、まさか5年前のことを夢見るなんて。これもこの剣のせいなのか?」

 ユウトはそう言いながら自分の足の上にある白色の剣を触った。

「にゃー」

 ユウトの頭の上から猫の鳴き声がする。

「カシャ。そこにいたのか」

 赤色の毛の子猫がユウトの頭から飛び降りる。

「カシャ。もうそろそろ、昼だから食堂に行くか?」

 ユウトはカシャの頭を撫でながら言う。

「にゃ」

 カシャは一鳴きしてユウトの肩に乗った。

 ユウトは白い剣を持って、茂みから出た。

 ユウトが学園内の道を歩いていると、周りにいる生徒たちは隅に寄って、ヒソヒソ話をする。

「〈異端者〉よ」「彼に近寄ると魔力が吸われるって噂よ」「早くあいつ辞めねぇかな」

 などといった心無い言葉を浴びせられるが、ユウトは気にしないで食堂に向かう。

(もうさすがになれたよな。この扱いにも)

 ユウトがなぜこのような扱いを受けるのかというと、ユウトはこの世界で唯一魔法が使えないからだ。

 ピンポンパンポン

 そんな音が魔動スピーカーから聞こえてくる。

『2年Fクラス ユウト・フィルナンスは至急学園長室まで来なさい』

 そんな放送が流れる。

 すると生徒たちはまたヒソヒソ話をする。

「学園長が〈異端者〉に何の用だろう?」「それはおめえ学校を退学にするっていうことを伝えるのだろ」「あいつもこれで終わりだな」

 などといったことを話しているがユウトは気にしないで、

「カシャ、ごめんな。先に学園長室に行かないとならなくなったから昼食はもう少しあとでね」

「にゃー」

 カシャが了解と鳴いたのを見て、ユウトは優しくカシャを撫でてから、進行方向を変えて学園長室に向かった。

 ユウトは学園長室の前に着いた。

 トントン

「2年Fクラス ユウト・フィルナンスです。放送を聞いて来ました」

 するとドアの向こうから女の人の声が聞こえてくる。

「入りなさい」

 ユウトはドアを開けた。

「失礼します」

 ユウトは一礼してから、学園長の前まで歩いた。

 学園長の見た目は30代くらいで、紫色の髪と、それと同じ色の瞳を持った、悪魔のごとき美しさの女性だ。

「よく来たね。ユウト・フィルナンスいやユウト・セリルスティア」

「僕はユウト・セリルスティアではありません。彼は4年前に死んだはずです」

 ユウトはきっぱりと学園長に言う。

「じゃあ、アレックス・フェルニティと呼ぼうか」

 学園長は不敵な笑みをしながら言う。

「僕と彼では正反対の人物ですよ。彼は5年前に最年少の魔王となった人ですよ。魔法の使えない僕なんかと同一人物なわけありませんよ」

「まあ、君がそう言うならそういうことにしておこう」

 学園長は全くユウトの言うことを信じていないように言う。

「それで、学園長、僕を呼んだ理由はなんですか?」

 ユウトが学園長に訊ねる。

「学園内の君の評価は知っているかね?」

「はい」

 ユウトは静かに答える。

 ユウトは魔法が使えないので学園始まって以来の最低評価のFになっている。

「私としては、君が何をしているのかは興味がないのだが、生徒たちや教師たちにとっては、Fクラスの君がいるとめざわりらしい。彼らの希望としては君を退学にしてほしいようだ」

「でも、僕は辞めるわけにはいきません」

 ユウトは学園長の目を見て、はっきりと言う。

「そうか。ならチャンスを与えよう」

 学園長はさらに妖しく笑う。


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