赤き爆炎と青き氷7
ユウトは校門の前で人を待っていた。
「おまたせ」
フレイヤがやってきた。
フレイヤは女子用の赤い制服でなく、白いワンピースを着ていた。
赤い髪と合わさりすごく映えていた。
「なにじろじろ見ているのよ」
「いや、似合っているなと思って」
そうユウトが言うとフレイヤは少し嬉しそうな顔をする。
そんな様子をユウトがにこにこして見ていると、
「い、いくわよ」
フレイヤはそう言い、先に歩いて行ってしまった
ユウトはフレイヤのあとを追った。
ユウト達は学園から歩いて10分くらいの位置にあるフィンクイルという街に来ていた。
フィンクイルは王立アルベニア魔法学校の学園都市になっていて、王都から離れているにもかかわらず、人口が多く栄えている街だ。
「よお、ユウト。デートか?」
ガタイのいい魚屋のおっちゃんが言う。
「ちげーよ」
ユウトは苦笑いしながら言う。
「あらあら、ユウト君デート?」
今度は八百屋のおばちゃんが言ってくる。
「違うって」
そうユウトが抗議しているうちに街の人が集まってきた。
「あんた、嫌われているんじゃなかったの?」
「嫌われていたよ」
「でも、そんな風に見えないわよ」
「まあ。いろいろあったからな」
「実を言うとな、ユウトに娘を人質として奪われているんだ」
魚屋のおっちゃんがフレイヤに言う。
「えっ?」
フレイヤはすすっとユウトから離れる。
「おっちゃん何言ってんだよ。フレイヤ、俺はやっていないからな」
ユウトは訴えた。
「話は看守さんに話して」
「ちょ」
「ま、半分くらい嘘だがな」
魚屋のおっちゃんが言う。
「本当のことは?」
「本当はみんな、ユウトに助けられたことがあるんだ。だからユウトの力も知っているし、ユウトの優しさも知っているんだ」
「へえー」
フレイヤはユウトを見る。
「フレイヤ行くぞ」
ユウトは顔を赤くしてフレイヤの手を引いた。
しばらくした後、ユウトはフレイヤの方を向いて、
「で、どこのケーキがいいんだ?」
「あんたに任せるわよ」
「じゃあ、ローズガーデンに行こうか?」
「ローズガーデンってここで一番高い店じゃない。大丈夫なの?」
「問題ないよ」
そう言ってユウトは店の中に入った。
「なにがいい?」
ユウトがフレイヤに訊く。
「すごいきれい」
フレイヤはそう言い、ショーケースの中のケーキを見ていた。
(こうやってケーキを楽しそうに見ているところを見ると、あの子を思い出す)
などユウトが思った。
「ねえ。ユウトどれでもいいの?」
フレイヤが上目づかいで見てくる。
「おう。どれでもいいぞ」
「どれにしようかな?」
またフレイヤがショーケースを見だした。
ユウトは自分の腰に挿してある白い魔剣に触れた。
(絶対、願いを叶えるからな)
「ユウト、決まった―」
フレイヤが途中で言うのを止めた。
「ん?どうした?」
「なんでもない。私、苺のショートケーキにする」
「俺は林檎のタルトに決めた」
ユウトは店員に注文して、椅子に座った。
フレイヤが目をきらきらさせて苺のショートケーキとユウトの林檎のタルトを交互に見ている。
「フレイヤ。タルト一口あげようか?」
そうユウトが言うと、フレイヤは嬉しそうに頷く。
フレイヤはタルトをフォークで小さく切って食べた。
「美味しい」
フレイヤのツインテールが嬉しそうに揺れる。
「それはよかった」
フレイヤを見ているとなんだかユウトまで微笑んでしまう。




