赤き爆炎と青き氷6
スティアが目を覚ますと医務室のベッドの上だった。
「よう」
ユウトがスティアに向かって手を挙げる。
「ユウト、君が私をここに連れてきてくれたのか?」
「うん」
「そうか。それはありがとう」
「いや、いいんだよ」
ユウトはスティアの近くの椅子に腰かけた。
「……」
数秒間沈黙が続いた。
「これで18回目か」
「ん?」
「私と君との試合回数だよ」
「もうそんなにやったのか」
「ああ、全部私の負けだがな」
スティアの表情が曇る。
「どうして、私は君に勝てないのだろう。勝てるように毎日鍛錬欠かさないのに」
「しょうがないだろ。スティアと俺じゃあ相性が悪いだから」
「あ、相性が悪い」
さらに表情が曇る。
「だって俺は接近重視のスピードタイプだから、スティアみたいな遠距離主体のテクニックタイプだと相性が悪いよ」
「そ、そっちのことか」
スティアはほっとした表情をする。
「どっちのことだ?」
「い、いや。こっちの話だ。と、ところで私重くはなかったかっ?」
「え?」
「だ、だから私をここまで運んだのだろう。重くはなかったのか聞いている!!」
「いや、軽かったよ。どうしてそんなこと聞くんだ?」
「そ、それは私の…って、この不埒者が!!女子にそんなこと言わすなっ!!」
顔を真っ赤にしてスティアが言う。
(言えるわけなかろうが、また胸が大きくなったなど)
スティア自分の胸を見た。
スティアの胸は他の女子より成長していて、男子の視線を集めるだけでなく、女子の視線をも集めてしまう。
よく女子に胸を大きくする方法を聞かれることがある。
「まあ、スティアの可愛い寝顔を見ることができたから役得だな」
ユウトは笑いながら言う。
「か、可愛いだとっ!?」
スティアは顔を真っ赤にして、ユウトに向かってパンチをする。
ユウトはスティアのパンチを受け止めて、
「これだけ元気があれば大丈夫そうだな。それじゃあ、俺は行くよ」
ユウトはスティアの手を放し医務室から出て行った。
「て、手を握られたっ!!」
スティアは顔を真っ赤にして振る。
ポニーテールが左右に動く。
「委員長、お楽しみのところ悪いんだけど…」
カーテンの向こうからリディスの声が聞こえてくる。
スティアが声のした方を見るとリディスがカーテンを開けて、こっちを見ていた。
「リディス!!いたのかっ!!」
「最初からいたよ」
「は、恥ずかしい。死にたい」
「委員長が順調に乙女していて、私としては安心かなー」
「乙女しているとはどういうことだっ」
「だって、委員長。人前では風紀委員の委員長として規律に厳しく、恋愛なんか興味がありませんって感じだからさあ」
「それは当然のことだ。私はこの学園の風紀委員長なのだから」
「でも、部屋の中は可愛らしいぬいぐるみいっぱいにしているじゃない」
「いいではないかっ!!可愛いぬいぐるみを持っていても」
「あと、彼に食べてもらうために料理の練習をしているとか」
「ユウトは関係ない!!」
「だれもユウト君とは言ってないよ」
するとスティアはハッとして、顔を手で覆った。
「委員長が彼のこと好きなのは風紀委員ならだれでもわかっているんだから素直になったら?」
そうリディスが言うと、スティアは顔を上げて、
「私は風紀委員長なのだから生徒の見本にならなくては」
「だからって、青春を謳歌しないのはどうかと思うけどなー」
スティアは深く考える。
「まっ、今はなんとかして彼をAクラスに編入させることを考えないとね。実力はAクラス以上だから編入試験はクリアーできるけど、彼にAクラスに入る気がないのが問題なんだよなー」
「う、うむ」
リディスは悪戯っぽく笑い。
「委員長がなんとかするから大丈夫か」
「うむ。って、私に何をさせるつもりなのだっ!?」
「そりゃあ、ナニでしょ」
「は、破廉恥な」
「あれあれ、何を考えたのかなー。私は料理のことを言ったんだよね」
「は、謀ったな」
「まったく、委員長は可愛いなぁ。それにしても彼すごいね。無意識であんだけ口説いてくるんだから」
「う、うむ。多少意識してくれればいいものを」
「それで、委員長は彼のどこに惚れたの?」
スティアは天井を見ながら思い出にふける。
「ユウトの戦う姿に惚れてしまったのだ」
「へえー」
リディスはにやにやしながら言う。
スティアはこほんと咳をして、
「これから、この話は禁止だ!」
「あれあれ、禁止にしていいのかなー?そんなことしたら相談乗らないよ」
リディスまた悪戯っぽく笑いながら言う
「そ、それは困る」
スティアは捨てられる子犬のような表情をする。
「じゃあ、ちゃんと話してね」
レディスは微笑んだ。




