異世界
もう一度言いますが、駄文なので期待してはいけません。
無理矢理詰め込んだ感半端ないです。
異世界、それは今現在生きているこの世界とは別の世界のことである。
全員とは言わないが、異世界に興味がある、もしくは興味を持っていたという人は多いだろう。
ところで、異世界とはどんなイメージをお持ちだろうか。個人的な思考だが、やはりもう一人の自分がいるパラレルワールドというのがベタだろうか。気づいたら自分の知らない街にいる。あるいは、自分の知っている場所だけれども周りの人間が何か違うなどそういうのを思いつく。
まぁ、興味があるだけで本当に異世界があるのかどうかは分からない。たまに、異世界へ行ってきたとか異世界にいるとかの話をちらほら聞くが、それが本当なのかは誰も分かるわけがない。
普通の場合は、中二病の一言で解決されるのがほとんどだ。興味があると言ったが、自分がそんなことを言われたら間違いなく中二病だと言い終わらせてしまうだろう。
言っていることが矛盾していると言われるかもしれないが仕方がない。人間とは、矛盾で生きているものだから。
まぁ、高校1年にもなってこのような考えをしているのはどうかと思うが、人それぞれ考え方はあるのだから許してもらいたい。
そんなことを、学校の屋上で思っている時点でかなり痛いけれども自覚しているので言わないでほしい。
その時、風に乗って僕の足元に茶色い物体が飛んできた。
「枯れ葉?」
なんで、こんなところに。それに、何の花かは枯れきってしまっていて全く分からなかった。
「かーける君!」
一人の女の子の声で、後ろを振り向く。そこには、黒髪ロングの美少女が立っていた。
「屋上なんかで何しているの?」
いやー、屋上で女子と二人で僕は本当に青春しているなぁ。リア充最高だぜ!なんて、思うこともない。だって、僕はこの子を知らないから。
「あれ?どうしたの?1年3組時空翔君!」
「えーと……あのー…」
「もしかして、名前覚えてないの?酷いなぁ。同じ学年の、一戸華和梨だよ。酷いなぁ。何回か話したことあるのに」
うむ。前言撤回。どうやら、僕はこの子と知り合いだったみたいだ。でも、これだけ可愛ければすぐに分かるはずなんだけれども。どうやら、僕は若年性アルツハイマーになるかもしれないな。このまま行けば。やだねぇ、本当に。
「ごめんごめん。えーと、一戸さんだっけ?どうしたの?」
「屋上に来てみたら、翔君がぼーとしてたから声かけただけだよ。人生はこれからなんだから、早まっちゃだめだよ!」
「別に飛び降りようとはしてねぇよ」
「あれ?そうだったの?ごめんごめん。私が、早まっちゃったね。で、翔君はここで何をしていたの?」
さっきから気になってたけれど、下の名前で呼ばれるほど一戸さんと仲が良かったのか?駄目だ。これは、本格的にボケが進行しているぞ。しっかりするんだ翔!
「何もしていないよ。ただ、夕暮れの空が好きだから見ていただけだよ」
「私も、夕暮れの空って好き。なんか不思議というか違う世界に迷い込みそうな雰囲気というか」
「異世界ってやつ?」
「そうそう!私、そういう話好きなんだぁ」
「そうなんだ。僕も好きだよ」
「そうなの!?もう一つの世界で暮らしてみたいって願望もあるんだよ」
「へぇー。今の世界は嫌いなの?」
「嫌いではないけれど、好きでもないかなぁ。何とも思わないな」
「そっか。僕は、異世界に行ってみたいとは思うけれども、暮らしたいとは思わないなぁ。まぁ、この世界ももう勘弁してほしいとも思っているけれども」
「まぁ、知らない世界に行くのは不安だよね」
「帰ってこれないって不安がすごいあるよ」
「それは、誰もが思うね。翔君は、よく放課後はこうして空見ているの?」
「んー、気分かな。多くはないと思う」
「そっかー。あ、そろそろ時間だから私帰るね!」
「おう。僕ももう少ししたら帰るよ」
「じゃあ、またね!」
あれ?また明日ではないのか。明日は会うつもりはないって意味なのか?ちょっとショックだなぁ。かけるショックだよ。もう、涙で枕を濡らす日々が続きそうだ。ん?なんで、そこまで思うんだ?あれか?もしかして、一目惚れってやつか?これが一目惚れなのか!……まぁ、そんな戯言は置いておいて。そもそも、一戸さんが言うには何回か会っているみたいなので一目惚れと言ってよいものなのだろうか。そんなくだらないことを思いながら帰路に就いた。
「異世界かぁ」
そうつぶやきながら、多機能型携帯電話をいじる。
身近に異世界に興味があるという人はいるとしても、まさか暮らしたいと言う人と会うとは思わなかった。しかも美少女である。本当に変わった子だ。あの時、僕は暮らしていとは思わないと言ったけれども、実は少し暮らしてみたいと思っている。なぜ逆の事を言ってしまったのかわからない。わからないけれども、本当のことを言ってはいけないような気がした。
その時、携帯の画面が一人の子の名前を映し出した。
「一戸華和梨」
電話であった。
「もしもし」
「もしもーし。翔君?」
「うん、そうだけれど。一戸さん?」
「そうだよー。やっほー」
「やっほー……じゃなくて何で僕の番号知っているの?」
「もう本当やだなぁ。この前交換したじゃん!」
「え……あぁ、そうだったな」
交換したかなぁ……全く身に覚えがないのだけれど。僕の記憶力は既にもう駄目なのかもしれない。
「今、なにしてるの?」
「ん?ゴロゴロしてるところ。一戸さんは?」
「夜ドラを観ている最中だよ!」
「あれ?今、ドラマなんてやってる?」
夜の7時にするドラマなんてあったかなぁ。
「何言ってるの?ドラマじゃないよ?ドラえもんだよ?」
「夜のドラマじゃなくて夜のドラえもんかよ!」
「お風呂に逆世界入りこみオイルを入れればあっという間に異世界への入り口の誕生だよね!欲しいなぁ。あと、かるがる手袋もあれば箪笥ごと向こうに送れるから欲しいなぁ」
「しかも、連続アニメの方じゃなくて映画の方かよ!のび太と鉄人兵団かよ!」
「山本百合子さんが役をしているリルル良いよねぇ」
「そして、旧作の方かよ!君の好感度UPだよ!」
結局、この後一戸さんとドラえもん話に花が咲き1時間も話し込んでしまった。
「じゃぁ、またねー」
「うん」
翌日、いつも通り授業をこなし屋上へと登った。
そう言えば、一戸さんってどこのクラスだろ?さすがに、自分のクラスの人の名前は覚えているから僕のクラスではないことは確実なのだけれども。しかし、僕が他クラスの、ましてや女子と知り合う機会なんて皆無に等しいのにどうやって出会ったのだろう。全くと言っていいほど思い出せない。
「やーやー翔君。青春しているかね?」
「青春している男子高校生が一人で屋上で黄昏ているわけがない」
「いやいや、誰かとつるんでいることだけが青春じゃないよ。一人でも自分が充実していると思えばそれは青春なんだよ」
「まぁ、言われてみればそうかもしれないけれども、残念ながら僕は充実しているとは思ったことがないよ」
「ありゃ?そうなの?それはそれは残念極まりない」
「そう言えば、一戸さんとは屋上でしか会わないよね?」
「ん?それは、翔君が屋上にばかりいるからじゃない?」
「あ、そう言えばそうか」
「実は、今日はお話があってきたんだよ」
「何かな?」
「異世界に行く方法があれば行ってみたいと思わない?」
「え?まぁ、あるなら行ってみたいかな」
「そう。じゃぁ、今週の土曜日の夕方6時にここに集合ね」
「ちょ、どういうことだよ」
「だから、異世界に行ってみたいんでしょ。連れて行ってあげる」
「本気でいっているのか?」
「本気も本気だよ。あ、信用していないでしょ?」
「まぁ、そりゃしていないよ」
「そうかー。まぁ、そりゃ当然だよね。ま、信用してくれるなら来てよ。信じるか信じないかは君次第だよ、翔君。それじゃーねー」
一戸さんと別れ、僕は一人屋上に残った。
あの子は、本気で言っているのだろうか。異世界に行く?そんな方法があるわけがないじゃないか。行く行かないと言う以前にそんなものが存在するかどうかすらが問題だ。それを、あんな簡単に連れて行ってあげるというのは、からかわれているとしか捉えることができない。、
それに、今気になっているのは異世界のことではなく一戸さんのことだ。
気になっていると言っても、好きだとかの恋愛感情等ではなく一戸さん、一戸華和梨の正体ということである。彼女と知り合った経緯から全てがやはり分からないからだ。
最初は、僕の記憶に問題があるのかと思っていたが、それにしては僕は彼女のことを知らなさすぎる。知らなさすぎるなどの問題ではない、彼女との出来事が全くない。
もしかすると、その日に何か解かるかもしれない。僕は、行くことを決意した。
そして、土曜日の午後6時。土曜日で学校が休みのため、誰も居ない校舎にいつも通り夕暮れの空を見上げながら彼女を待つ……はずだったが、今日は、彼女が先に居た。
彼女が立っていた。柵の向こう側で、一歩でも動けば落ちそうな場所に。
「やっほー、翔君!待ちくたびれたよ」
「待ちくたびれたって、時間通りに来たのに何時から居たんだよ?てか、今日は学校休みだから校舎に入るの大変だったぞ。どうやって入ったんだよ」
「ごめんごめん!ずっとだよ。それに、待ち合わせは10分前行動って習ったでしょ?」
ニヤニヤした顔で返事をする。
「そうだったかなぁ。憶えてねぇや、記憶力がよろしくないもんで。それより、なんでそんなところに立っているんだよ?」
「あれぇ?えらく冷静だね。一女子生徒が屋上で今にも飛び降りようとしいるのに、冷静極まりないねぇ。私のイメージだと、『おい!早まるな!』って言いながら私を内側に引きずり込もうとするのだと思っていたよ」
「期待に応えられなくてすまんな」
「女の子の期待に応えられないとモテないぞっ!」
「あぁ、ご忠告ありがとう。気を付けるよ。戯言は置いといて、一戸さんは今何をしているんだ?」
「もう、さっき言ったじゃん。飛び降りようとしているって。人の話はちゃんと聞かないとだめだぞっ!」
「そうか。君は一体何者なんだ?」
「飛び降りるって言っているのに、そうかの一言で終わりぃ?寂しいなぁ。ん?私?私は私だよ。見たままの女子高生だよ」
「普通の女子高生なら、僕はこんなこと聞いてないよ。君はどこのクラスで、なぜ君とは屋上でしか会わない?」
「質問が多いなぁ。男の子は、聞き役の方がモテるぞっ!」
「そういうのは、もういいから」
「仕方がないね。わかった全部話すよ。だからさ、そっち側に戻るの手伝ってよ。こちら側にはこれたけれども、そっちにうまく帰れそうにないよ」
そう言われ、僕は彼女を引きずり入れるために近づいていく。彼女の手を持とうとした瞬間、力強く腕を掴まれた。
「やぁっと捕まえたっ。いやー、中々こちらに来てくれないから苦労したよ」
「ちょ、離せ」
「いーやっ!もう離さないよ、か・け・る君!そうだ、さっきの話をしなくちゃならないね。どこから話そうかなぁ。えっとねぇ、まず私のクラスは1年3組だったよ。そして、正体は普通の女子高生だった。8年前までは。昔ね、この校舎の屋上から転落事故があって一人の女子高生が亡くなったの。それが私。まぁ、転落事故と言うよりは、私が自分で落ちたんだけれどもね。別に自殺とかじゃないよ?異世界に憧れててもしかしたら、いけるんじゃないかと思ったんだよ。完全に中二病だよね。中二病を拗らせた結果が『死』だった。でも、異世界には行けたんだよ。生きている世界から死んだ世界に。自分がいる世界から見たら、それも異世界に違いはないよ。ただ、死んだ時に分かったんだ。私は、こちらではまだ住みたくない。生きていたい。そんな時に、異世界に、生きていた世界に行く方法を見つけたの。それは、誰かを死の世界に連れて行くことで、その人と入れ替わりで生きていた世界に戻ることができることが。でも、簡単にはいかなかったよ。私が転落して以来、この屋上には誰も近づかなくなった。鍵も掛けられていたしね。ところが、最近理由が分からないけれども、鍵が外された。まぁ、誰も来なかったけれどもね。諦めかけていたところに翔君が来たというわけさ」
「どこで僕の名前を知ったんだよ?」
「そりゃあ、必至で調べたよ」
「……じゃあ、僕が数日前見た枯れ葉は君へのお供えだったってわけか?」
「そういうこと」
「君は幽霊なのか?」
「んー、どうなんだろう。こうして、翔君にも触れているし、モノも持てるし私にはそこはわからないよ」
「そうか。ただ、残念ながら僕はそちらには行かないよ?」
「えーそうなの?でも、引っ張っちゃうよ?」
「いくら引っ張ったところで、君のような華奢な女の子にこの柵を越せるほどの力はない」
「そうだね。この柵があれば無理だね」
「どういうことだよ」
「思い出してよ、今日先にこの場所に居たのはどっちだったのかな?」
「一戸さんだけれど」
「そう。いやー、さすがにこの鉄に切り込みを入れるのはかなり疲れたよ」
「まさか…」
「そうなんだよー。切っちゃった♡ちなみに、私、一戸華和梨じゃなくて、朝倉優美って名前なんだよ」
「一戸華和梨……人と変わりってことか」
「ピンポーン、ご名答!じゃあ、異世界に行こうか」
その瞬間、今まで以上に力強く引っ張られ、屋上から投げ出される。落ち行く中で、彼女に話しけられる。
「ごめんねー。でも、翔君もこの世界に戻る方法は一緒だから」
「はっ、こんな世界もう勘弁だよ」
貴方の近くに、異世界に連れて行ってあげると言っている人はいませんか?
その人は、本当にこの世界の住人ですか?
また、機会があればお会いしましょう。