3-discovery-
その記事には僕の両親の事件のことが書かれていた。
『○○区で惨殺事件 殺された両親と残された子供』
という大きな見出しは僕の心を悲しみの方向へと向かわせた。
記事を読んでいくとまだ5歳だった頃の僕の事も書かれていた。
『5歳で両親を同時に亡くしてしまった子供。本当に可哀想でならない。この子の両親はなにか罪を犯していたのだろうか?これは天罰かなにかなのだろうか?警察はこれからも調査を続けるようだ。』
この記事を読んで僕の心は怒りの方向へと向きを変えた。
『可哀想』僕はこの言葉が大嫌いだ。事件の後しばらくこの言葉をいろんな人に言われ続けたから。近所のおばさん、幼稚園の先生・友達、とにかくたくさんの人に。
それに、僕の両親は罪を犯すような人じゃない。優しい人だったんだ。
なのに天罰だなんて。おかし過ぎる。
僕は記事に腹を立てながらも、他の記事を探した。ネックレスについての話が無いかと。
だが、そんな記事を発見することは出来なかった。
あきらめて家に帰ろうと部屋の扉を開くとどこからか一冊の本が落ちてきた。
その本にはあるページに印が付いていてみてみると、
『惨殺事件、犯人目的は?』とかかれた見出し。どうやら、週刊雑誌のようだ。
『先月、○○区でおきた惨殺事件。警察は事件がおきてから1ヶ月でなぜか捜査を打ち切りにした。それは、なぜだろうか?被害者はなにか大きな事件に関与していたのだろうか?我々は独自に調査を行った。調査の結果、犯人がどんな目的で家を荒らしたかが分かった。それはネックレスである。このネックレスがなにかに関係があるようだ。しかし我々の調査ではそれが分からなかった。我々はこれからも調査を続けるつもりである。』
記事にはそう書かれていた。やはり犯人の目的はネックレスだったのだ。
僕はそう確信し、その雑誌を持ってその洋館を後にした。