1-a sea of blood-
この、物語には残酷な描写が多く出てきます。
苦手な方は気をつけてください。
僕の目の前、二人の大人のようなものが倒れてる。
それはきっと。きっと、僕のお父さんとお母さん。
顔も身体も原型を留めないほど、血だらけで、グシャグシャだけど。
僕には分かる。これはきっとそうなんだって。
家の中も、外の庭もぜーんぶグシャグシャ。全部荒らされて、グシャグシャなんだ。
家族で撮った写真、全部ビリビリに破かれてた。
僕は、それを拾い集める。だんだん涙で何もみえなくなっていく。
拾い集めた、破片を両手で抱きしめて泣いた。大声で泣いた。
もう、永遠に涙なんか出なくなるんじゃないかと思うくらいに。
そう、両親は殺された。誰かに。
その誰かは、僕のお父さんとお母さん、僕達の思い出、そして二人の大切なものまで奪っていったんだ。
ネックレス
お父さんとお母さんが肌身離さず持っていた大切なもの。
誰かは、家を荒らしてるけどそれしかもっていっていない。
僕は、泣くのを止めて立ち上がった。
「僕が・・・。僕がお父さんとお母さんの大事なネックレス、取り返す。絶対に。僕は、お父さんとお母さんを殺した奴の事を許さない。同じ目に会わせてやる。そいつのお父さん、おかあさん、友達だって。みんな、みーんな殺してやるんだ。」
僕の決心。5歳の蒸し暑い夏のことだった。