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辺境伯 4

「運動不足ですね」


診察を終え、部屋に辺境伯も呼んだところで、医者はリディアに診察結果を下した。


「どこにも異常はないですが部屋に篭りきりは健康に良くないので、今後は適度に運動すると良いでしょう」


そう言われて、リディアは消え入りそうになる。周りに心配をかけておいて運動不足だと言われてしまったのだ。本当に申し訳なく思う。メイドの顔が若干呆れているように見える。辺境伯は頭を垂れて顔を手で覆っているので表情は分からないが絶対に呆れている。医者がまだ何か言っているが辺境伯の様子が気になるリディアの耳には医者の言葉は届いていない。


医者の説明が終わり、頭を垂れたままの辺境伯から大きく息を吐く音が聞こえる。


「良かった」

「え?」


聞き間違いかと思い、リディアは聞き返す。


「君に何かあったのかと思って心配した。何事もなくて良かった」

「辺境伯様、本当にすみません。お医者様まで呼んで頂いて」


リディアは純粋に心配されていたことへの驚きと、ただの運動不足で医者を呼ばれてしまった恥ずかしさで素直に謝る。恥ずかしくてまともに辺境伯の顔を見られない。


「フリッツ=ヴォルフだ」


急に何を言い出すのかとリディアは辺境伯を見ると、真っ直ぐにこちらを見ている彼と目が合った。


「まだ名乗っていなかったから。辺境伯ではなくフリッツと呼んでくれ」


うっかり出てしまった言葉を誤魔化すかのように言うと、フリッツは優しく微笑んだ。思わず見惚れそうになるが、リディアも正式に挨拶をしていないことに気がつき慌てて名乗る。


「私はリディア=ウィレムスと申します。リディアとお呼びください」

「よろしくリディア」

「よろしくお願いします。フリッツ様」


今さらだが、互いの挨拶を終えたリディアはなんだか可笑しくなって笑ってしまった。周りにいたメイドや医者が生暖かく見守っていたのには気が付かなかった。

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