第80話:執着するキリヤマという男
俺は家族の皆を慕っている。兄は秀才で某大学の医学部で凄く優しい。
母親は人格者の専業主婦。父親は元軍人で心も体も強かった。
父親は優しいが考え方がなんというか...固い。軍人思想ってやつだ。
自分の命を顧みずに人のために行動する。俺が海で溺れそうだった時も、
親父が助けてくれなかったら多分俺は死んでた。
横断歩道で子供が事故りそうだったときも、身を挺して守った。
当時の俺はそれを馬鹿馬鹿しく思った。父はいつも俺に言っていた。
桐山父
「大事なもんが出来たら死んでもそれを守り通せ。いいな?常に合理的でいろ。
命は等しく平等じゃねぇ。どうしてもトロッコ問題にブチ当たる時はある。
ただ最善はトロッコ問題にさせないことだ。そうなる前に助けろ。」
何を言ってんのか分からなかった。俺が小4の頃まで俺には幼馴染がいた。
当時はそいつが好きだった。家が隣で登下校も一緒で、そんでもって性格と顔がいい。
大きくなったら相当な美人に成ってただろう。でも下校中に通り魔に刺された。
父の言ってる意味がわかった。わかったからこそ俺は死ぬほど辛かった。
目の前の恋人でさえ守れなかった俺なんかが生きてていいのかさえ分からないほどに。
それから俺は取り憑かれたかのように自分の命の価値を下げた。
他人が死ぬくらいなら自分が死ぬと。ついこの間まではそうだった。
ユルリカちゃんと出会ってからだ。別にあの娘とユルリカちゃんを重ねてたわけじゃない。
別のタイプの女の子だし。だけど一目惚れだった。
誰かを一丁前に好きなっていいんだってそう感じさせてくれた。
関われば関わるほど彼女の魅力がどんどん溢れてくる。
その度、俺なんかが君に関わっていいのかって呪縛のように俺を縛った。
それを通り越して君への好きが溢れた。だからひたすら君の隣に立てるように頑張った。
でもあの時俺は正しいと思ってした行為が君を傷つけた。
俺が左目を失ったあの時、ユルリカちゃんが本気で心配してくれていたのを覚えている。
そこで俺は気付いたんだ。もう俺一人の体じゃないって。
このクソみたいな世界で俺は一人だと思ってた。そうじゃないって、
ユルリカちゃんが教えてくれた。既にユルリカちゃんの中には俺がいる。
俺が死んだら悲しむと。あの時どれだけユルリカちゃんに救われたかは計り知れない。
だから俺はユルリカちゃんの為に死なないように頑張り続けた。
例え世界がユルリカちゃんを否定しようと俺だけは肯定し続けたかった。
だから打倒王国に協力した。そしてユルリカちゃんのありがとうって言葉で、
俺は本当にこの娘と対等になれた気がした。だから俺は今日も
俺
「ユルリカちゃんを愛しまくるぜぇええぇぇぇええぇぇえ!!!!!!!!!!」
ユルリカ
「急にどうしたの!?」
俺
「今日も暇だからデート行こう!デート!」
ユルリカ
「いいよ。どこに行くの?」
俺
「言質とれたぁあぁああ!!よし!じゃあ王都へ行こう!
遊びつつ適当に食べ歩いたりしてさ!前は上から覗き込んだだけだったもんね」
ユルリカ
「うん!レイくんとならどこでも行くよ!」
俺
「尊さで俺の心が死ぬ...よし、またおんぶして行こうか。」
ユルリカ
「いいの?」
俺
「今更じゃない?ささ、乗って乗って。」
その日は空を飛んで王都に着き、一日中二人で遊んだ。




