第70話:タイマン張れよ国王さん
Chu♡遅れてごめん
おまたせしちゃってごめん
メイナード
「実は想定よりも大分マズい状況かも知れません...」
俺
「どうしてだ?」
メイナード
「いえ、明らかにおかしい事が一つありまして...
国王に宣戦布告状を出したのは一昨日の夜だったのですが、
まるで僕達が宣戦布告をするのを知っていたかのように、
即座にこんな張り紙が国中に貼られたんです。」
〜王国軍と共に戦う冒険者募集〜
参加した冒険者には一律200G。(日本円にして10万)
追加報酬として、
・大将、王子メイナード(生け捕り拘束のみ)40万G(日本円で2億)
・大犯罪者キリヤマ(生け捕り、殺害どちらでも可)40万G(日本2億)
・タチバナ(生け捕り、殺害どちらでも可)20万G(約1億)
・ミラ(生け捕りのみ)14万G(7000万円)
・ユルリカ(生け捕り、殺害どちらでも可)2000G(100万)
・ロボット(?)(技術向上のため素材の回収を求む)2000G(100万)
・メイナードに与する鬼級以上の冒険者10万G(5000万)
・それ以外の雑兵200G(10万)
を与える。
俺
「ユルリカちゃんの事ナメすぎだろ。もっと強ぇのに。
まぁユルリカちゃんが狙われないのは良いことなのか...?
喜べば良いのか怒れば良いのか...」
メイナード
「これがもう少し遅く出てくる予定だったのですが、
あまりにも早く出てきたせいで、敵軍に大勢の冒険者が加わりました。
名の知れた冒険者も数名います。」
俺
「なるほど、余計早く王様を倒さなくちゃいけねぇのな。」
そんな会話をしていたら、ハルカ達が張り紙を見て愚痴をこぼす。
ハルカ
「ロボットって...何故か少し不快感を覚えます...」
ラック
「俺はもっと高くてもいいだろぉが!」
タチバナ
「仕方ねぇだろ。誰が参加するかなんて向こうは把握してねんだからよ」
ヴォルダ
「俺は雑兵扱いだな!ガハハハハ!」
リルラ
「しかし何故ケントはココに来ていないのかしら...」
松風
「変わりと言っては何だが、拙者達も助太刀いたすことにしたでござるよ」
タチバナ
「松風ぇ!何でココに!?
前回の集合で居なかったからてっきり居ないもんかと思ってたぞ!」
リルラ
「それは単に作者が忘れていただけですわ。それはともかく、
何故ココに来たのです!?誘った時は断ったのに!」
タチバナ
「断ってたのか!?なら尚更何で来たんだ?」
松風
「いや断ったわけではないでござるよ。」
タチバナ
「何だ断ってないって言ってるぞ」
リルラ
「だって行けたら行くって...」
タチバナ
「それは確かに来ないと捉えられてもおかしかねぇな。
行けたら行く=行けるけど行かないってことだもんな。」
松風
「その時は用事があったのでござるよ!
でもその仕事をできるだけ早く切り上げてここまで来たでござる!」
タチバナ
「何だお前良いやつじゃん!だがな、
行けたら行くは今後はなるべく使うなよ?誤解を招く。」
松風
「それは失敬。今後気をつけるでござる!」
桃次郎
「某の存在が忘れられてる...」
ヴォルダ
「俺と一緒だな!」
ハルカ
「アタシも前回忘れられてました。同士ですね」
メイナード
「約30分後に戦争開始の午前15時の鐘の音が鳴ります。」
俺
「戦争ってそんな感じで始まんの?」
ユルリカ
「宣戦布告の場合はそうなりますね。」
俺
「宣戦布告って戦争するぞ!って意思表示だけじゃないの?」
ユルリカ
「まぁ概ねはそうですね。ただ少し複雑なルールの元での戦争なんです。
そして国同士ではなく、集団同士の抗争なんかにも使われたりします。
戦争というより、試合みたいなニュアンスで捉える人が多いですね。」
〜宣戦布告とは〜
少数の集団が多数の集団に送る果たし状のようなものである。(多数側は出せない)
何時何処で何人の兵を持ってその集団と戦う決意表明をする。
宣戦布告された側に拒否権はない。しかし、宣戦布告を申し込み負けた場合、
少数側は多数側の軍門に下る事を強制される。こちらも同様に拒否権は無い。
また、少数側が勝った場合は多数側の統率権を得る。
宣戦布告状の内容に虚偽があって負けた場合、
少数側は他の集団に何をされても文句は言えない。
また、勝ったとしても統率権を得ることはない。
勝利条件:敵方の大将を討つor降伏を認めさせる
ユルリカ
「大まかにこんな感じですね。」
俺
「なるほどねぇ。」
ユルリカ
「まぁレヴンタス王国程の大国に勝つなんて本当は無謀に近いことでしたから、
基本的に小国はレヴンタスに宣戦布告なんてしないんですよ」
俺
「ユルリカちゃんは物知りだねぇ...へへへ」
メイナード
「皆様、自分たちの戦闘配置を確認して下さい。」
俺
「俺は最前線でメルナードを討つ、か...」
ユルリカ
「大丈夫です。キリヤマさんなら出来ますよ。」
俺
「へっへ。その言葉だけでいくらでも働けちゃうねぇ!」
残り10分程で鐘の音が鳴るその時、メイナードは叫ぶ。
メイナード
「この戦いはぁあぁあああぁあぁああ!!!!!」
その一声に、千三百人程の兵が振り返る。
メイナード
「この戦いは!未来のための戦いである!全ての種族が笑い合い、手を取り合い!
何か一つの目標に向かい平等に合って助け合う!そんな未来のための戦いである!
この戦いに勝ったとしても、始めは誰からも受け入れられないだろう!
でも、いつか!いつか必ず!種族間という壁を取り払い!
全ての種族が分かり合う日が必ず来る!どうかその日まで、
僕と戦ってくれぇえぇぇええええええ!!!!!!!!!!」
兵士達
「うおぉおおぉおおおぉおおぉぉぉおおおおぉおお!!!!!!!!!!!」
ネルフ
「ご立派になられましたな、坊ちゃま。」
涙ぐむネルフ。
俺
「あぁ、立派な王様の器だよ。」
ミラ
「全ての種族が平等に...ねぇ。」
俺
「ミラさんもそう言えば女神の一族?みたいなのなんだっけ?」
ミラ
「いつ知ったんですそれぇ。」
俺
「いや、11話とかで受付嬢さんが言ってたなって」
ミラ
「めっちゃ初期じゃないですかぁ。」
メイナード
「後10秒です!皆様、構えて下さい!」
兵士
「俺この戦いが終わったら結婚するんだ」
俺
「黙れ負けフラグを立てるなぁ!」
カチ...カチ...着々と時は進み...
ゴオォオオォオオオォオオォォォオオオオォオオン!!!!!!!!!
平原中に鐘の音が響き渡る。
俺
「んじゃメイナード。俺、行ってくるわ。王様んとこ。」
メイナード
「頼みましたよ。あなたがこの作戦の全てです。」
俺
「おう。こっちも任せたぞ。」
メイナード
「えぇ。」
ビュウゥウウン...!!!!!
凄まじい勢いで敵陣へ飛ぶキリヤマ。
俺
「しかしすげぇな。なんて数の敵だよマジで。見渡す限り敵だらけじゃねぇか
んで、王様は何処だ?」
視力と注意力を強化し、王様を空中から探す。
俺
「ん〜と王様はっと...あぁ!?」
メイナード
「不味い、先手を打たれた...!!」
見ると最前線で馬に跨がり兵を引き連れ、メイナード軍へ突撃する王様が見えた。
最前線で大将が戦うのは、戦国時代でも使われた戦法である。
これをすることにより味方兵の士気を底上げする。
戦場において士気の上下がどれほどの意味を持つか、どの兵士も理解していた。
理解していたからこそ敵兵の士気は更に上がり、味方の士気は下がる。
俺
「俺がなんとかするか。烙炎...!」
土魔法に炎を纏わせ、重力を上げて落とす疑似隕石を再現したこの魔法を、
極力まで威力を下げ、範囲を広げて、
当たらないように軌道を調整しながら大量に落とす。要するにハッタリである。
兵士
「これが...神級、キリヤマ...!」
兵士2
「こんなの勝てるわけ...」
兵士3
「終わりだ...」
兵士
「地獄かここは...」
士気が戻りかけたその時ー
スパアァアアァァアアァアアァァアァァアアァアン...!!!!!!!
と、メルナードがいとも簡単に擬似隕石を一刀両断する。
メルナード
「狼狽えるな!この程度の攻撃、ハッタリに過ぎぬわ!」
戦場の士気が乱高下する中、戦況を一度整理する。
メイナード...最後方で待つ。指示を出したり色々。
俺...最前線で王を討つ。
ユルリカ...後方で攻撃魔法を撃つ
タチバナ...前線で敵を蹴散らす
ミラ...後方支援。
ハルカ...メイナードの護衛
ラック、リルラ、松風、ヴォルダ、桃次郎...最前線で接近戦
ヴェルダ...ハルカとともにメイナードの護衛
その他の兵士...自分の得意な配置に着く。
メルナード
「フン、この程度か、メイナード!!!」
馬で突撃しながら、メイナード軍を蹴散らすメルナード。
俺
「これ以上はやらせねぇよ!砲水!!!」
メルナード
「残龍斬り」
高圧の水のビームをメルナードに向けて放つも、
メルナードの剣はそれを物ともせずキリヤマの元へ瞬時に近寄り、
首を跳ねようとする。キリヤマはいつもの瞬発力と動体視力で躱す。
メルナード
「ほう。魔力と魔法だけかと思ったが、身体も相当動くようだな。
だが貴様...我らを殺す気がないのだろう?」
俺
「ご名答。しっかし、やっとこっち見たな。んじゃ早速、
キリヤマレイの名において一騎打ちを申し込む。」
〜この世界の一騎打ちとは〜
お互いの任意の誓約が乗っかった内からも外からも干渉できない空間魔法内で、
どちらかが倒れるか負けを認めるまで空間内で戦う事を強制される。
空間内で使って良いのは己の剣技、付与魔法と能力のみである。
メルナード
「ほう?我にそれを挑む気か。貴様は魔法が得意なのではなかったのか?」
俺
「手加減が難しいんだ。剣のみでようやくお前に対して本気が出せそうなもんでな。
しかも周りの邪魔が入ると面倒だしな。お前を倒すことだけに集中したい。」
メルナード
「ナメられたものだな。いいだろう。メルナードの名において誓う。
その一騎打ち、受けて立とう。」
すると二人の周りに巨大な青白い空間が展開される。
メルナード
「閃光斬!」
展開された瞬間、キリヤマに斬りかかるメルナード。
俺
「おぉっと!?不意打ちは卑怯だろ!」
ギリギリで躱すも、次々と攻撃が来る。
俺
「静閑之刀!」
ガキィイイィイイ...!!!!!
メルナード
「この空間内で卑怯もクソも無いであろう。」
俺
「そうだ...なっ!!!」
刀を思いっ切り振りかぶるも、簡単にいなされる。
メルナード
「貴様...剣を愚弄しているのか?」
俺
「あ?」
メルナード
「刀を振っているだけなら鈍器に変えたほうがいいんじゃないか?
折角の名刀も、使い手がここまで初心者だと腐るものだな。」
俺
「チッ、そうかよ。」
(まぁ確かにこの世界に来るまで、剣なんて持ったことなかったからな。
切り方なんて分かるか。いや、理解する!学習能力と理解力を底上げし、
コイツの剣から学ぶ!戦いながら!)
メルナード
「火斬灰」
剣を振るその速さは、剣と空気の摩擦で火が起こりキリヤマの腕を両断する。
俺
「!?」
(やべぇ、再生しねぇ!?傷口が燃えてるからか!)
即座に根本から自分の腕を切り落とすも、その隙をメルナードは見逃さない。
メルナード
「八断硝子。」
燕返しを4回、瞬く間に行う8連斬が炸裂する。
キリヤマは躱せるように身を引くも、2、3回攻撃を喰らう。
俺
「!?」
(再生が少し遅くなってる!?どういう事だ!?)
洞察力を高め、一瞬でとある結論に辿り着く。
俺
("疲労"だ!ぶっ通しで動き続けると人の動きは加速度的に増す!
いくら耐久力や回復力が高まった所で、2、3日(日本時間にして5日)動き続けたら、
疲労はいずれ耐久力を超える!
特にイルカ戦の後から回復する時間が取れなかったのがやべぇ!
あの時常に動体視力上げてたから体感時間としては5日(日本時間で10日)、
全力で運動し続けてたことになる!その上2日も魔力を消費し続けてた!
俺の身体、どんどん限界に近づいてきてやがる!コンディションがクソすぎる!)
メルナード
「焦っているのか?顔が少し強張ったようだが...どうした?
この空間を作ったことでも後悔してるのか?実に愚かであるな」
俺
「うっせ。さっきまでの俺と...一緒にすんな。」
メルナード
「ほう...では貴様の実力、見せてみよ。」
キリヤマはメルナードの剣から何を学んだのであろうか。
視点は戦場へ移る。
タチバナ
「アイツ、ついにおっ始めたか。」
ユルリカ
「でも、少し不安です。」
ミラ
「何がですぅ?あの人が負けることなんて余程のことが無い限り...」
ユルリカ
「薄々気付いていたんですけど、キリヤマさん、
3日前から一睡もせずに動き続けてるんです。」
ミラ
「そんなに前からぁ!?一体どうしてぇ!」
ユルリカ
「話すと長くなるのですがカクカクシカジカ...」
ミラ
「さらっとイルカ様が倒されてるぅ...」
タチバナ
「どうやって倒したんだよ...ってんなことは後で良い。
つまり、キリヤマも不調の可能性があるってことか。」
ユルリカ
「はい...私がキリヤマさんのケアを出来ていたら良かったのですが...
私が何もできないからもしかしたらキリヤマ様に迷惑がかかって...
もしそれで負けてしまったらと考えてしまうと...身体が...」
ミラ
「そんなの今気にしてても意味ないですよぉ。
今キリヤマさんの役に立ちたいなら、必死に戦って、
少しでもキリヤマさんを安心させることなんじゃないですかぁ?」
タチバナ
「偶に良いこと言うのも鼻につくなコイツ...ま、でもそういうこった。
気に病むな。俺もアイツのために、ちょっくら前線で戦ってくる。」
ユルリカ
「そうですね。後悔するなら、戦いが終わった後で出来ますもんね!」




