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テリーがなぜここに?

「ブルル?」


 プルルスがちいさく鼻をならしつつ、わたしのうしろから顔をのぞかせようとした。


「だめよ、プルルス。そうだわ。このままこっそり侯爵様のところにいきましょう」


 かれの手綱をひっぱり、別荘の裏道から遠まわりして侯爵様のもとへといった。


 いったい、どういうつもりなのかしら?


 いくらなんでも婚約者を王都に残し、お忍びで妹に会いにくる?


 だとしたら、気がしれないわ。


 この日は、遠乗り中ずっと気もそぞろだった。


 聡明なプルルスは、わたしが指示しなくってもメランとレウコンのあとをついていってくれる。

 だから、わたしも安心してずっとかんがえこんでしまっていた。


 侯爵様とナダルがときどき声をかけてくれるけど、それも生返事になってしまった。


「いったいどうしたんだい?今日のミナは、どこかおかしいよ」

「そうだな。体の具合でも悪いんじゃないのかい?」


 丘の上へとのぼっているところで、ナダルがメランをよせてきた。つづいて、侯爵様がレウコンをよせてくる。


 三頭並んで丘をのぼりきった。


 いつものように風が頬にあたるけど、どこか春のにおいとあたたかみが感じられる気がする。


「侯爵様、ナダル、ご心配おかけして申し訳ございません。大丈夫です。ちょっとかんがえごとをしてしまって」

「ならいいんだが……。顔色がすぐれないようだし、今日はこれできりあげて屋敷にもどり、あたたかいお茶でも飲んで読書でもどうだい?」

「あ、それはいいですね。今日は、お茶よりもあたたかいミルクにチョコレートをいれましょう。すっごくあたたまるし、元気がでますから」


 ナダルが手をのばしてきてわたしの腕をかるくなでた。


 かれのそういうなにげない気遣いが、わたしにとってはホッとできるしうれしいことだわ。


 このまま別荘にかえれば、まだテリーはいるわよね。


 できるだけかえる時間をのばさなくっちゃ。


 あきらめてかえってくれたら最高なんだけど。


「すごくいいおかんがえですわ、侯爵様。それに、あたたかいミルクにチョコレートっていうのもすごく魅力的ね、ナダル」

「では、善は急げだ」


 侯爵様がレウコンの馬首を返すと、ナダルとわたしもそれにしたがった。


 丘をくだってしばらく駆けていると、湖がみえてきた。一面にはっていた氷も、だいぶんととけてきている。

 

 これだけでも春はもうすぐそこなんだって感じられる。




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