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春の予定と訪問者

「え?あ、ああ、ああ。王都に、いる」


 かれの返答は、歯切れが悪かった。顔は、ちょっと怒っているような困っているような、そんな表情になっている。


 かれは、ほんとうのご主人様のことが好きじゃないのかしら?

 だったら、侯爵様にこのままお仕えしてもいいんじゃない。ってそんなふうに軽くかんがえてしまうけど、そんなに簡単にはいかないんでしょうね。


「仕方がない。では、三人でゆこう。ミナ、気に入った仔馬がいたら、わたしに贈らせてほしい」

「そ、そんな。侯爵様、わたしにはプルルスがいますから」

「遠慮はいらないよ。メランを立派な乗馬にしてくれたお礼だから」

「だったら、ぼくが贈るよ」

「ナダルまで……。ありがとう。でも、お気持ちだけいただいておきます」


 手をのばしてナダルの手の甲をさすりつつ、微笑んだ。


 馬丁としてどれだけのお給金をいただいているかはわからないけど、たいした血統でない仔馬でもけっして安くない。侯爵様ほどのお金持ちならいざしらず、ナダルに贈ってもらうわけにはいかない。


 でも、その気持ちはとってもうれしいわ。



 それから、三人で計画を練った。


 でも、それが実現することはなかった。


 大事件が起こったからである。


 寒さがすこしだけ和らいだある晴れた日、平和で穏やかでしあわせな日々が突然おわりを告げた。


 その日、いつものように侯爵様のお屋敷に向かう準備をしていた。


「プルルス。今朝はすこし寒いけど、日中は気温があがるわよ。いつもよりすこし遠くまでいけるかもしれないわね」

「ブルルルル」


 厩でプルルスに鞍を置きながら、かれに話しかけた。


 プルルスも毎日の遠乗りを嫌がらずに付き合ってくれている。


 そのとき、母屋のほうがさわがしいことに気がついた。


 プルルスに銜を装着し、準備を完了してから手綱をとって母屋に向かってみた。


 いままさに母屋の角を曲がろうとしたとき、立派な馬車が母屋のまえに停車していることに気がついた。


 馬車には、これみよがしに薔薇の紋章がはいっている。


 この乙女チックな紋章は、ライアット侯爵家のものにまちがいないわ。


 ということは……。


「まぁまぁ、ライアット様。いったい、どうされたのですか?」


 エントランスのほうから、ミンの驚きの声がきこえてきた。


 テリー・ライアット。


 わたしの婚約者のはずの男。


 いえ、ちがうわね。


 わたしの婚約者のふりをして妹とできているゲス野郎ね。


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