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お父様

 なぜだかわからないけど、プルルスは妹の恰好をしているわたしのことがわたしってわかっているみたい。


 馬房にいくと、いつものように鼻面をおしつけてきた。だから、わたしもなんの違和感もなくかれをなで、そのまま馬具を装着して飛びだしてしまった。


 かれは、とっても頼りになる相棒といっていい。



 あたたかい恰好をし、白い世界をひた走る。


 林を抜け、森を抜け、凍る湖の畔を駆け、小高い丘の上まで疾駆する。


 ナダルは馬丁だけあり、メランと仲良くなるのにそう時間はかからなかった。


 信頼関係さえ築ければ、乗りこなすのになにも支障はない。


 三人と三頭は、白い息をたなびかせなつつこうして冬のひとときを過ごした。


 遠乗りをして侯爵様のお屋敷に戻ると、三人で紅茶かあたたかいミルクを飲む。


 こじんまりとしている侯爵様の書斎の本棚には、さまざまなおおきさの本が並んでいる。


 本といえば、乗馬や馬関係の本くらいしかよまなかったわたしだけど、国も時代もさまざまで色とりどりのカバーのかかっている本がめずらしく、借りてかえったりすることもある。


 夜、ベッドにねころんでよみはじめるけど、たいていそのまま眠ってしまう。


 それでもすこしずつよみすすめている。これで趣味に読書といえるほどにはなっているかしら。


 わたしのお気に入りは、馬がでてくるお話。


 さすがは侯爵様よね。一冊返すと、つぎのお話を準備してくれている。


 それはともかく、こうしてあたたかいお茶やミルクを飲み、クッキーやケーキをいただきながらのお話がまた楽しくって仕方がない。


 たいてい侯爵様かナダルがおかしい話をしてくれるから、はしたなくもゲラゲラ大笑いしてしまうこともしょっちゅうあるのよね。


 わたしが笑っているのをみて、二人も笑っている。


 こうして三人ですごすのが、いつの間にか当たり前のようになっている。


 なにより、すごく居心地がいい。


 それから、しあわせって思える。


 こんなこと、これまでだれからもあたえてもらえなかった。


 お父様とお母様ですら、わたしにとってはなにかちがっていた。


 お父様は、わたしを馬の管理や馬術指南の後継者にするつもりはなかった。わたしが侯爵家子息テリーの妻になって侯爵家の後ろ盾を得るとともに、テリーにメイフォード家のすべてを継がせるつもりだった。

 

 わたしは、それまでのつなぎ。つまり、政略結婚の道具にすぎないというわけ。




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