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馬の調教について

「ありがとう、うれしいよ。自分では自慢の厩のつもりなんだけどね。建てる場所がちがうだの、こんなものに金をかけてどうするだの、結構不評なんだ」


 侯爵様は、わたしにちかづくと両手でわたしの両手それを握り、ぶんぶんと音がするほど上下に振った。


 よほどうれしいのね。


「かくいうナダルもバカにするんだよ。いやー、ミナ。きみはいい人だ」


 きらきらしながら、侯爵様は手を握ったままふりつづけている。


「おっと失礼。うれしくてつい」


 そこでやっと手を開放してくれた。


「この馬のよさをわかってもらえるとは……。メイフォード伯爵以来のことだ」

「メ、メイフォード?」


 思わず叫んでしまった。


「ああ。王宮の馬の管理や王族の馬術指南を任されている名家だよ。このレウコンも、伯爵に調教してもらったんだ」


 侯爵様は、レウコンの鼻面をやさしくなでながらいった。


 レウコンと目があった。


「あ……」


 そのときはじめて、この白馬のことを思いだした。


 かれを調教したのは、お父様じゃない。わたしだわ。


 思いだしたと同時に、レウコンが唇をあげて「ブルルル」と笑った。


 なんてこと……。


 かれは、わたしを覚えていたのね。


「ぜひともあのメランも調教してもらいたかったのだが……」


 わたしの動揺をよそに、侯爵様は馬場にいる黒馬をみて吐息をついた。


「伯爵なら、レウコン同様メランも立派な乗馬にしてくれただろうに。わたしは、ちょっと変わり者でね。王都での生活につかれてしまっている。まさか、伯爵にここまできてもらうわけにもいかないから」

「セレス様。そんな話、ミナには面白くありませんよ」

「ああ、そうだった」

「いいえ、侯爵様。馬のことが本当にお好きなんだってわかります」


 馬の話は、これでおしまいにしなきゃ。


 けっしてけっして、あの黒馬に興味をもってはいけない。


 無視をするのよ。興味をもたないのよ。


「メランの調教は、まだなのですか?」


 ちょっと、わたし。いいかげんになさい。


「みようみまねで試みてはいるのだが……。気性の荒さはレウコン以上だ。これなら、牝馬にすればよかったかな」

「だから、セレス様には無理なんですって。それなら、セレス様がグッとがまんして王都まで連れていって伯爵様に託されてみては?そういえば、伯爵様には後継者もいらっしゃるとか。その方でもよろしいのでは?」


 ナダルは、ご主人にたいしてずいぶんと心やすく接するのね。


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