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あらすじだけ企画

噛ませを愛したモブ平民(短編版)

作者: 清水薬子

アカウントがなくても感想だけは書き込める仕様になっていますので、気になったところはどしどし書き込んでください!

 平民のビビアン・ステイシーは大戦の最中、敵と差し違えて命を落とす。最期の時まで考えていたのは非業の死を遂げた初恋の相手、カルロスのことだった。

 ところが気がつけば魔法学園の入学式当日まで時が戻っていた。訳もわからぬまま、学園生活を送っていた矢先『平民嫌い』と名高い公爵令嬢に目をつけられてしまう。

 校舎裏に呼び出され、始末されることを覚悟したビビアンに公爵令嬢のアンナが不可解なことを告げる。


「ワタクシ、悪役令嬢ですの。驚きましたわ、まさか乙女ゲームの世界に転生してしまうなんて! 見たところ、貴女はモブに転生したようですわね。ここは一つ、お互いの目的のために協力いたしませんこと?」


 アンナは噂と違って自由奔放、型破りな振る舞いを繰り返す人物だった。この世界は元々ゲームなのだと言い張り、お供も連れずに学園を抜け出そうとする。そんな彼女に振り回され、困惑しながらも、権力者という盾が欲しいと思ったビビアンはその提案を受け入れ、協力関係を結ぶ。


 『自称悪役令嬢』の話──いわゆる乙女ゲームのシナリオとやらによれば、カルロスはいわゆる噛ませ役であり、問題行動を起こして自主退学するらしい。しかし、ビビアンが記憶している限り、たしかにカルロスは殺されたのだ。

 食い違う『未来』に疑問を覚えながらも学園生活を送る二人。そんなある時、ビビアンはカルロスが一部の学生と揉めている現場を目撃する。

 カルロスが揉めている相手は、自称悪役令嬢のアンナを破滅させるという『おとめげぇむ』のヒロイン、フレイヤだった。

 揉めていた理由は、魔力をもたない平民をどう扱うかという政治的な対立。平民に価値はないと叫ぶフレイヤ。それを注意したカルロスに激昂して襲い掛かる。衆目ということも幸いしてことなきを得たが、それを不審に思ったビビアンは調査を始める。

 調査を進めるうち、フレイヤの背後にビビアンとアンナの知らない人物がいることを突き止める。二人に接触してきた人物は淡々と告げた。


「力もない平民に生きる価値はない。貴族だけの理想郷を作る」


 その人物は平民に憎悪を燃やし、理想郷を作るために「戦争を起こす」と嬉々たる口調で話す。

 アンナが語る未来を歪め、ビビアンが語る未来を実現しようとしていたのはフレイヤ一派の仕業だった。

 ビビアンとアンナは、その人物を黒幕と断定し、その野望を阻むために派閥を形成することとなった。

 フレイヤの動向を追う内に、彼らがクーデターを企てて政権乗っ取りを画策していることを知る。その活動の余波で、カルロスの実家への見せしめとして、彼は惨たらしく殺されるのだ。


 大戦勃発のきっかけとなるクーデター発生まで猶予は三年。

 未来の知識を活用し、次々と優秀な人材を引き抜いては育て、派閥の中へ囲い込んでいく。

 そのなかで、初恋と過去に何もできなかった罪悪感からカルロスを支援するビビアンだったが、何度フレイヤに負けても、周囲に嘲られても、決して折れない彼とクラスメイトとして会話を交わすうちに初恋以上の感情を抱く。二人の仲は深まるが、情勢は余談を許さない状況だった。己の恋心へ蓋をすることに決め、支援に徹する。


 一方で、国外追放さえ回避できればいい、最悪婚約者から婚約破棄を突きつけられても構わないと考えていたアンナ。ビビアンとの交流や学園内の派閥闘争を通じて、『力を持つことの恐ろしさ』について深く考えるようになる。己の政略結婚が成立しなければ、大戦は免れないことに気づく。


 ついに迎えた運命の日、黒幕が引き起こしたクーデターを未然に防ぐことに成功したビビアンとアンナ。影の立役者であるビビアンへ感謝の言葉を述べるアンナ。功績を表して、アンナの口添えで称号を貰う。


 時は流れ、卒業パーティーにて婚約者と幸せそうに踊るアンナを見守るビビアンにカルロスが話しかける。そこでダンスを申し込まれ、有無を言わせずに手を取られる。周囲がアンナとその婚約者に夢中になるなか、ダンスをリードしながらこれまでのことを振り返るカルロス。


「これまで誰かに支援されていた。それが誰なのかずっと不思議だったんだが……案外近くにいたとは、まったく気がつかなかった」


 クーデター前に、アンナの傘下に加わる条件として優秀な人材が欲しいと条件を出した所、一番優秀だというお墨付きでビビアンを紹介されたという。そこで、影の立役者がビビアンだと知ったカルロスは驚きながらも納得したと語り、妻に迎えたいと言われる。アンナに背中を押されたビビアンは婚約を受け入れた。

 後日、正式にカルロスと婚約したことを報告するビビアンにアンナは満面の笑みで無茶振りを発する。


「まだ国内の情勢は不安定なの。一番クーデターを起こしたらやばい実力を持ってるカルロスを骨抜きにして尻に敷いちゃって!」


 そんな言葉と共に渡されたのは恋愛ハウツー本。

 ビビアンが裏舞台から引退できる日はまだまだ遠そうだ。

第二弾としてカルロスとビビアンの恋愛攻防戦(ときたまアンナの乱入)があっても面白そう

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― 新着の感想 ―
[良い点] 作者さんが楽しく作品を書いているのだろうなという雰囲気が作品からしたこと。 死亡からの巻き戻しに悪役令嬢にクーデターに恋と、イベント盛りだくさんですね。 イベントを共にこなすことで友情や愛…
[良い点] とても綿密にシナリオ展開を構想された、面白そうな作品だと思いました。 処刑エンドからの時間逆行であるビビアン、対して乙女ゲーム転生のように「キャラどころ」を理解しているアンナ。ふたりの認識…
[一言] アンナ視点からのビビアン達の日常も読んでみたいですね。
2021/01/02 08:16 退会済み
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