表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋せよ文学乙女  作者: ほか
第3話 恋に悲劇はお呼びじゃないわ!
70/434

⑦ マーティンのヒント ~もも叶の語り~

もも叶は物語占いの読み解き方を、電話でマーティンに相談します。

 あたしはルンルンでスマホの通話ボタンを押した。

 画面にはマーティンの文字が映し出されてる。

 名付けて、『飛ぶ教室という占い結果、手っ取り早く解決作戦』。

『登場人物に訊くって、それカンニングじゃないの? あたしのプライドが許さないわ』

 せっかくこの天才もも叶が提案したナイス作戦なのに、せいらが強情張るから、さっき啖呵を切ってやったんだ

『プライドと恋と、テストの点数と一体どれが大事なのっ?』

『ももちゃん、いろいろずれてるよ……』

 つっこみながらも夢が援護射撃してくれる。

『せいらちゃん。マーティンに意見を訊くだけだから、きっと大丈夫だよ』

『それにせいらだって、この前は彼を助け出すのに頑張ってくれたんだから遠慮はいらないよ。第一、あたしの友達のことなら、マーティンは喜んで協力するって! あたしの彼は義理堅いんだから』

 あたしの太鼓判に、せいらもようやく頷いてくれた。

『そうね。……そういうことなら、力を借りようかしら』

 さいしょっから素直に甘えなさいって。

 記憶の中のせいらに毒づいたとき、呼び出し音が止んで、懐かしい声がする。

『もも叶?』

 この間一緒に湖で遊んだばっかなのにもう懐かしいって、あたしどんだけ。

「マーティン。そう、あたし」

『この前は楽しかった』 

「うん。あたしも……」

 スマホから、囁くような声。

『またおいでよ』

 ……やだ。そんなふうに言われたら。

 こっちも、そっと返事する。

「飛んでくよ」

 幸せ……。

 って、違う、要件があったんだった。

「今日電話したのはね、ちょっと相談があって。友達のせいらのことなんだけど、片想いで悩んでるんだ。相手の彼には、会いたい人がいて、それがどうも恋のライバルっぽいの。それで物語占いをしたら、マーティンたちの出てくる『飛ぶ教室』がでたんだけど」

「恋愛の問題で、僕らの物語が? ……そうか」

 しばらく、会話が途切れた。

 マーティンがじっと考えてくれてるのがわかる。

「これは、僕の考えなんだけど」

 ゆっくりと、彼の答えが告げられる。

「せいらの好きな人の、心の拠り所となるその人を、あえてつきとめろってメッセージじゃないかな」

 えぇっ!

「そ、そんな。せいら、かなり落ち込んでたし、これ以上傷つけたくないよ」

「もも叶」

 あわてるあたしを落ち着けるように、マーティンが笑ってくれてるのが声でわかった。

「君は僕らの物語の愛読者だろ。よく思い出してくれ。僕とジョニーが、心で結びついた二人の大人を引き合わせたあのときのこと」

 あぁ、そんなエピソード、あったよね。

 すごく感動的なシーンだった。

 それは、物語占いででた第八章。

 尊敬する正義先生を、自分たちの秘密の場所に案内するマーティンとジョニー。そこに待っていた、正義先生の会いたかった人。この物語が示してくれるものって?

 ……やっぱり、ぜんぜんわからん。

「もったいぶらないで教えてよ、マーティン」

 とっても優しい声が返ってくる。

「ダメだ。勉強でも占いでも、答えには自分でいきつかないと」

 もう、優等生めっ。

「もう一度本を読み返して、味わってみたらどうかな」

「わかった」

『飛ぶ教室』は何度読んだっておもしろいしね。

「それじゃ、そろそろ正義先生の授業が始まるから」

「うん。……マーティン、あのね」

 机の上に「の」の字を書きながら、あたしは言った。

「大好き」

 スマホから、周りに訊かれないように、低くした声が返ってくる。

「僕もだ」

 スマホを切って、ベッドに寝っころがる。

 あたしは近くにあったぶたさん枕をぎゅーっと抱きしめた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ