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強硬

 ちょっと大きめの地震が来たが、なんだかいつもと感じが違う。地震大国日本に住む立花縁は、そんなことを思った。

 地震とかの自然災害は、不謹慎だとか分かっていても非日常感にワクワクしてしまう。今回も正直なところそんなことを思って、ちょっとワクワクしながらツイッターを見てみた。

「……は?」

 ツイッターのTL(タイムライン)はおかしなことを言っていた。

『ローマ吹っ飛んだ』

『地震でヨーロッパ壊滅』

『ブルジュハリファ折れた』

 いつになく高速で更新されるTLでは、かいつまんで言うとそんな情報が流れていた。

「絶対ゆきだ」

 こんな凄まじいことをできるのは、彼女以外に考えられなかった。彼女なら全人類の脳に直接語り掛けられるし、ローマを消し飛ばす爆発も起こせる。だが、信じたくなかった。この爆発では、確実にたくさんの人が死んでいる。ゆきがそんなに命を軽く扱うなんて考え難かった。

 縁は家を飛び出した。今頼れる大人は、早乙女未玖しかいない。


 扉を激しくノックする音が聞こえて、早乙女未玖は慌てて玄関に向かった。ドアを開けると、同時に立花縁が飛び込んできた。

「未玖さん!ローマに……私をローマに行かせてください!」

 未玖はぽかんとして立ち尽くしていたが、とりあえず縁を部屋の中に案内する。

 縁は走ってきたようで、息を切らしていた。出された飲み物を飲んで、ようやく落ち着いてきたようだった。

「ローマ……。やっぱり、あれにはゆきさんが絡んでいるんですか?」

「分からない……。けど、りんごはゆきを探すって西の方に飛んで行ったし、何かあったのかも」

「分かりました。でも、申し訳ないですが、あなたをローマに連れて行くのは少し難しいです。ローマまで飛んでいく飛行機は用意できますが、それを操縦するパイロットが居ないんです」

「だったら私が操縦していくから!はやく行かないと!」

「落ち着いてください。飛行機どころか、自動車ですら運転したことないでしょう?危険すぎます」

 縁は反論しようとして口を開くが、開いたり閉じたりして、結局口を噤んでしまった。

「……一応、私はパイロットの試験だけ受けたことがあるので……」

 俯いていた縁は顔を上げた。

「あっ、違くて、違わないんですけど……試験を受けただけなので、ちゃんと操縦できるかは……」

「お願いします!」

 縁は土下座した。慌てた未玖もなぜか土下座する。

「こっ……こちらこそ、不束者ですがよろしくお願いします!」

 なんだか会話が成り立っていない気もするが、縁と未玖はローマに向かうことになる。

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