だって怖いもん
「ねえ!開けてよ!早くしないと……ねえ!」
縁は必死にドアを叩いていた。
「ねえ……神様なんでしょ?」
すると、急にドアが開いた。
「うわ!」
縁はそのまま中に倒れ込んだ。縁は、トイレの便座に座っているゆきの膝の上に顔を突っ込む形になった。
「いてて。……あっ、ゆき!時間だよ!早く行かないと……!」
ゆきは縁の口を両手で抑えた。息ができなくて縁は暴れるが、抜け出せない。そのまま一方的にゆきが喋り始める。
「私だってさ、怖いもんは怖いんだよ。……縁は、あのときのこと覚えてる?私、ロゼッタに殺されかけたんだよ?めっちゃ痛かったんだよ?」
縁はようやく抜け出せた。大きく息を吸って、吐いた。それから間髪入れずに縁は言った。
「何?痛いから嫌って?怖いって?みんな困ってるんだよ!みんな痛いんだよ!……神様なら、助けろよ!」
一通り叫んで、縁は満足したようだった。一旦黙った。その瞬間、縁の唇とゆきの唇が重なった。突然のことに、縁は呆然としていた。そんな縁の顔を見るゆきは、いつものような少し悪戯っぽい顔をしていた。
「びっくりした?」
「……びっくりした」
ゆきは一人でケラケラと笑っていた。
「分かったよ。神様に任せときな。……でも、ちゃんと私のこと応援しててよね。神様だって、怖いもんは怖いんだから。」
すぐにゆきの姿は見えなくなった。多分テレポートか何かをしたのだろう。




