神様に任せて
「……ということがあったんだよ。そして、未玖ちゃんは遥々日本まで来てくれたってわけ。」
ゆきは、何故か細かい心理描写まである説明をしてくれた。
「そんなの知ってたなら、先にどうにかしてくれたら良かったのに。」
私はついそんなことを漏らしてしまう。
「う~ん、そうかもね」
それなら、と口を開こうとした瞬間、横の方でベッドがギシリと音を立てた。未玖さんが起きたようだった。
「おはよう。よく眠れた?」
ゆきは暢気そうに声をかける。未玖さんは起きたばかりで少しぼんやりしていたが、すぐに壁の時計の方を見て、途端に私にしがみついてきた。
「た……大変なんです!結莉さんが、えっと……まず、職員の反乱があって……」
「全部知ってるよ」
私にひっついていた未玖さんを引き剥がすようにして、ゆきが口を出してきた。
「じゃあ……!」
「でも、今はだめ」
「なんでよ!」
思わず、私は叫んでしまった。
「人が困ってるんだから、助けてあげたらいいじゃん。神様なんじゃないの?」
ゆきは暫く黙ったままだった。その沈黙を破ったのは、ゆきではなく、私でも、未玖さんでもなかった。
「私が答えてやる」
地上百数十メートルのベランダ側から入室してきたのは、赤い破壊神のりんごだった。
「ロゼッタ・ラ・ロテッラを知ってるだろ?アイツはまだ生きてる」
ロゼッタ・ラ・ロテッラ。ゆきと出会ったばかりのときに、突然私たちを襲ってきた女。彼女は神殺しの術だとかを使っていて、ゆきもだいぶ苦戦していた。最終的には勝ったようだけど、ロゼッタが具体的にどうなったのかは知らない。
「創造神。お前はアイツを殺さなかった。というより、殺せなかった」
ゆきは俯いたままじっと話を聞いていたが、やがて小さく呟いた。
「参ったなあ、弱みを晒されるなんて慣れてないもんでさ。」
「……待って、ロゼッタが生きてるのと、今回の。どう関係してるの?」
思わず私は尋ねる。ゆきは答えず、りんごは淡々と続ける。
「神に限りなく近い生命体……ロゼッタは、1000億光年離れた時空間を漂流している。移動速度は時速にして1億光年。ただ、ロゼッタは自分が時空上のどこに居るのか把握できていない。だから、再び地球に戻ってくる可能性は限りなく低い。……現状では。」
「魔力波ですか?」
未玖が口を開いた。マリョクハ?
「まあ、お前らがそう呼んでいるものだな。異能力だとか魔法だとか、そういうものを使うと場に波が生じる。それを感知することで、ロゼッタが地球の位置を特定できる可能性がある。コイツは、それを恐れてる」
コイツは、参ったなあ、と呟いているばかりだ。
「強力な力を使うと、それだけ強力な魔力波が生じる。ロゼッタが怖いから、パパっと問題解決できるような能力は使いたくないんだってさ」
「言っとくけど、あんたのせいもあるんだからね?」
ゆきがようやくまともに口をきいてくれた。でも、なんだかいつもより勢いがない。
「私だって、最初は1000京光年離れた場所まで飛ばしたんだよ。でも、あんたと戦ってから、一気に距離を詰められちゃって。」
りんごは何か言いたそうだったが、結局口を噤んだままで、首を横に振った。
「私だって、私なりにどうにかするつもりはあるんだからさ。神様に任せといてよね」
4~5年前に作ったプロットなくしたので、なんかノリでいい感じにやってこうかなと




