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138億年間眠り続けた宇宙を創造した女神の話  作者: あさねこ
うん……。本当に、面白いね
22/41

conflitto

またまた久しぶりになりました。このシリーズを始めたのは昔すぎて、自分で読み返して最初の方は恥ずかしくて見てられないくらいなんですが、でも、とりあえず完結させようと思います。

 結莉はローマの路地を駆けまわっていた。後ろからはたくさんの弾丸が飛んでくる。

 路地を曲がったところで、結莉は真上に飛んだ。案の定、追ってきた連中は真上なんか想定していなくて急に消えた結莉に困惑している。敵は5人だけ。イケる。

 真上から飛び降りて、一人を制圧。同時にその銃を奪い取って、銃口を突き出した。

「動くな。」

 しかし、まだ4人居ることを有利だと判断したのか一人が発砲する。でも、結莉は無事である。その超人的な身体能力のおかげである。

 この世界には、極稀に超科学的な能力を持った人間が発生する。結莉はその一人だった。現在、この地球上に確認できている能力者のうちでは最上位と噂される能力者である。当然、圧倒的な身体能力の強化も能力の一つである。

「今ので分かっただろ?私はお前たちが撃った弾を避けられる。でも、お前たちはどうかな?」

 これでようやく不利ということを理解できたのか。彼らは逃げて行った。最初に制圧したのも、わりと元気で腰を抜かしながら逃げて行った。

「……ふう。」

 結莉は強奪した銃を見て、もう一度ため息を吐いた。なぜなら、「機関」内部の部隊にしか支給されていないはずの形の銃だったからだ。これは、最初から――カフェの窓ガラスが粉砕されたときから、なんとなく察していた。特殊な魔術的加工がなされたこの銃でないと、窓ガラスがあんな形で破壊されるのは説明できない。

 ものすごく嫌な予感がした。もう一度屋根の上まで飛び上がり、屋根伝いに「機関」本部に向かった。


 本部が見えてきた瞬間、結莉はその足を止めてしまった。本部の建物が燃えていたのだ。消防が懸命に消火活動をしており、観光客まで混じっている野次馬の群れが広がっている。これでは極秘組織である「機関」はまともに活動できない。

 すぐにスマートフォンを取り出す。しかし、仕事用のメールは昨日の15時から更新なし。こういう時に頼れるのは彼女しか居ない。早乙女未玖に電話を掛けた。

 意外にも、彼女とは一瞬で繋がった。

「今すぐ切ってください!」

 この一言で電話を切られたのだが。でも、なんとなく未玖の腹づもりは分かる。

 早乙女未玖は、「機関」のエンジニアである。「機関」でもトップクラスの技術があり、その才能を買われて結莉とともに本部に転任した。彼女の能力をよく理解している結莉が考えたことはこういうこと。あの短い時間でも、未玖ならばこちらの位置の特定が可能だろうということ。だから、待っていれば未玖がこっちに来てくれる。

 結莉は近くの路地裏に降りた。暫く待っていると、パタパタという足音が聞こえてきた。

「ようやく落ち合えましたね。」

 早乙女未玖である。その体には大きく見える、小さめのノートパソコンを抱えている。目立った怪我もなさそうだ。

「無事でよかった……。一体何が起きたんだ?」

「機関の一部職員による謀反です。……恐らく、前総統を慕う派閥によるものかと。」

「やはりか……。」

 結莉就任後の機関は、爆弾を抱えていた。前総統のロゼッタの派閥の存在である。

 ロゼッタは、人格的には出来上がった人間とは言えなかった。結莉自身も、それに振り回された経験が多々ある。しかし、発足当初からの総統であり、この組織を世界規模まで拡大させたのも誰あろうロゼッタ本人だった。その経営手腕というか、頭脳とカリスマ的センスは本物だったのだ。純粋にそういうところに惚れ込んだ者だとか、あとはロゼッタが作った既得権益に乗っかっていた者だとか。そういうところに結莉の体制に異を唱える分子が多数存在しているのだ。現在の機関は、必ずしも一枚岩ではなかった。

「……日本に行ってくれ。」

 結莉は未來の肩を掴んで言った。

「私の1番強いカードはどう考えても創造神だ。奴らに取られる前に確保しておく必要がある。……未來、今すぐ日本に行ってくれ。」

「わっ……分かりました!じゃあ、結莉さんはどうするんですか?」

「私は1人でなんとかする。向こうが狙ってるのは私もそうだ。リスクは分散しないと。……未來、よろしく頼む。」

 未來はとても心細かった。それに、結莉のことも心配だった。でも、色々と言いたかったし、それに、結莉の前ではしっかりしているところを見せたくて、沈黙してしまった。

「それじゃあ、私は向こうで囮をやる。南側は安全に通れるはずだ。」

 そのまま結莉は走って行ってしまった。能力により強化された脚力で、結莉の姿はあっという間に見えなくなってしまう。そこに未來が追いつくのは無理だった。

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