ゆきちゃんの再臨Ⅱ
ここまで長かったな
リアル時間で
クリスマスイブの夜、宇宙を創造した女神であるゆきちゃんが居候していた立花縁の家からいなくなった。
心配になった縁はゆきを探しに出る。なんとなく、直観から公園に向かった縁は案の定そこでベンチに横になるゆきを見つける。声を掛けてみるが、彼女は動かない。なぜなら、彼女の腹部には大きな穴が開いていて活動を停止していたからだ。
「ようやく見つけた。」
動揺する縁を見つけてそう呟いたのは破壊神を自称する真っ赤な髪と炎のように赤く輝く瞳の少女。
「ごめんな、私はお前を殺さないといけない。」
「雷霆!」
死を覚悟した縁を救ったのはギリシャ神話の最高神、ゼウスの武器を携えた祇園寺結莉。
「君は早く逃げるんだ。この場は私がなんとかする。その間にゆきさんを頼む。」
「でも……」
「早く!」
結莉に足止めを任せ、縁は逃げ出した。
早乙女未玖と合流した縁はゆきを蘇生させようとする。しかし、一介の女子高校生に過ぎない縁には強く願う程度しかできることがなかった。
縁は自分の無力さを嘆き、ゆきをもう一度起こす力を欲した。縁は強く、つよく願った。そんな縁の意識はいつしかより深い次元へ沈み込んでいった。
「……あれ?」
気づいたら、縁が居たのは上の下もない、明るさという概念もない、人間の知覚を超越したもので満ちた世界――宇宙の深淵。そこに居たのは色白で白髪の、「創造神の能力」を自称する少女。
「あなたがトリガーになってくれれば私は能力を発動できます。」
「……じゃあ、ゆきを起こしてくれる?」
そして、一度活動を停止した――死んだ――創造神は、この宇宙に再臨した。
破壊神と創造神の戦闘が始まった。
「全能神である私なら、キミのことを、救ってあげられるよ?」
「キミはなんで誰かと近づくことを怖がるようになったの?」
「大丈夫。怖がらないで。誰かと近づくことは怖くない。」
破壊神の攻撃がピタリと止んだ。
「……もう、何も壊したくないんだ。」
ゆきの腕の中で破壊神が呟く。
「私が私自身の大切なものを壊してしまうのが怖いんだ。」
「……もう、大丈夫。私が……」
「だから、もう壊さなくていいように全部壊すって決めたんだ。」
破壊神を抱きしめていたゆきの両腕が捥げて吹き飛ぶ。断面から鮮血が迸る。
「お前を殺す。お前が大切にしているものも全部壊す。そして、この宇宙を壊す。それで、終わらせる。」
「……ッ、今ってそういう流れじゃなかったじゃん!」
破壊神はゆきの言うことなど聞いていない。
「もう全部どうでもいい。全部壊せば関係ない。」
胡乱な目の破壊神は高く手を掲げる。
「ぜんぶこわれろ」
破壊神の周囲十数メートルの物質が崩壊し始めた。素粒子間を繋ぐ力そのものが壊れたのだ。
「あーもう!」
ゆきは腕の断面からそれぞれ2本の細い腕を伸ばした。その腕で吹き飛んだ腕を掴むと、断面から伸びている腕を縮めていき、縮み切って見えなくなると同時に吹き飛んだ腕が断面とくっついた。治った腕の感覚を確かめるように2、3度手を握ったり閉じたりする。
「ったく、手がかかる子だなぁ!」
なぜか嬉しそうな顔のゆきは破壊神の元に走っていった。
また更新が半年空くとかはしないようにこれからも頑張ろうと思います




