ゆきちゃんの再臨Ⅰ
力を開放した雷霆の力は凄まじいものだった。何しろ、一部と言えども全能神の力を持っているのだ。破壊神ともほぼ互角の戦いをしていた。しかし、結莉の体力はみるみるうちに消耗していく。それに対して、破壊神の力は衰える気配がない。
結莉も分かっていた。自分は勝つことができないと。ただ、勝つことができなかったとしても足止めをすることはできる。実際、先ほどの戦いより破壊神の出す力は跳ね上がっている。先の戦いが遊び程度だったとしても、この戦いの破壊神は本当に結莉に手こずっている。このまま足止めをできれば……
ただ、蓄積した疲労で結莉の足取りは覚束ない。破壊神の攻撃を受け流しきれなくなり始めていた。
「頼む、早くしてくれ……!」
「もう終わりか?」
破壊神の一撃で結莉の体勢が大きく崩れる。結莉が体勢を立て直す前に破壊神は次の攻撃の体勢に入る。結莉は明らかに次の攻撃を避けきれない。
ここまでなのか。結莉は諦めかけた。
……。結莉は、まだ生きていた。
「……?」
結莉の前には、美しい銀髪の少女が立っていた。
「ゆき……?」
「もう下がってていーよ。あとは私に任せて。」
ゆきはよく分からないシールドを張って破壊神の攻撃を防いでいた。
「それは……?」
「あー、うん、A.T.フィールドってやつちょっとやってみたかったんだよ。」
「はぁ?」
「まあ、ちょっとした遊び心ってやつだよ!」
ゆきはA.T.フィールドというそれを変形させて破壊神を30メートルほど吹き飛ばした。
「さっきは油断してたけど、今度はそうはいかないよ。」
「……。」
破壊神は何も言わず立ち上がる。体についた土を払い落として言った。
「……お前のせいだ。……お前のせいで、あいつは死んだ。」
「……何言ってんの?」
「お前がこんな世界を作ったから、私はこんなに苦しんでるんだ!」
「だからさー、まずそこから話し合おうよ。……ッ、危ないなあ、いきなり攻撃しないでよ!」
「全部お前のせいなんだッ!」
破壊神は今までで1番強力なパンチを放った。その一撃でゆきが張っていたシールドが破れる。
「痛っつ〜……。ていうかさ、私はあなたみたいなもの創った覚えはないんだけど。あなたはいつ生まれたの?」
返事の代わりに飛んできたのは破壊的な速度の火球だった。
「うわっ!……危ないじゃん、ボーリョクハンターイ!文化的に話し合いで解決しようよー。」
「うるさい!私の苦しみがお前に分かるもんか!」
破壊神はもう一発火球を撃つ。
「おっと。……もー、少しくらい私のこと信頼したっていいんだよ?全能神である私なら、キミのことを、救ってあげられるよ?」
ゆきは連続で放たれる火球を避けつつ一気に破壊神との距離を縮める。
「……ッ、来るなぁぁぁああ!」
破壊神はとびきり大きな火球を撃った。しかし、ゆきはそれを躱して破壊神の後ろに回り込む。
「キミはなんで誰かと近づくことを怖がるようになったの?」
ゆきは破壊神の耳元でそう囁く。
「………………。」
「大丈夫。怖がらないで。誰かと近づくことは怖くない。」
ゆきは破壊神を抱きしめた。
ATフィールドのくだりはゼルエルのイメージで




