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ゆきちゃんの消失III

「重い……ッ!」

 (ゆかり)は意識が戻る気配のないゆきを抱えて走っていた。遥か後ろでは恐ろしい音とともに激しい閃光が絶え間なく瞬いている。そのせいで夜のはずなのに昼間のように空が照らされている。

 これから私はどうなるんだ。ゆきはどうなるんだ。この世界は、どうなってしまうんだ。不安が漠然と肥大化していく。


「縁さん、こっちです!」

「えっと、未玖(みく)さん?」

 そこには横から閃光に照らされた早乙女未玖が立っていて、その奥には真っ黒なジェット機が道路の中央に堂々と停めてあった。

 未玖は言う。

「結莉さんでもあれを相手に長時間耐久戦を続けるのは不可能です。彼女は『破壊神』を自称しました。恐らく、それに対抗できうる存在は創造神であるゆきさんくらいです。何とかして私たちはゆきさんを回復させないといけません。」

「でも!」

 縁は叫んだ。

「ゆきは、一回負けてるんですよ?こんな怪我をしているんですよ?それなのに、もし回復させられたとしても、もう一度戦えなんて、私には……。」

 未玖は言う。

「それでも、破壊神をどうにかしないと、恐らく、この宇宙は破壊されます。これは、宇宙の存亡をかけた戦いなんです。」

 縁は腕の中で目を閉じるゆきを見つめる。その睫毛は微動だにしない。

 宇宙の存亡なんて壮大なこと、一人の女子高校生に過ぎない私は実感を持って感じることはできない。ゆきは、どう思うの?私は何をしたらいいの?

 お願いだから、もう一度その目を開いて。何の力も持たない平凡な女子高校生は、強く願った。

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