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第二節 三人目 6話目

「あらあらぁ、殺界を使うなんて早過ぎないかしらぁ?」

『逆だ。そうそうに終わらせる』


 残心の強化版ともいえるスキル、その名も殺界。このスキルは基本的なクリティカル倍率が設定され、その上でこの状態で敵を斬りつければ斬りつける程更に斬撃の精度が増し、そしてクリティカル率が乗算されていくという、長期戦闘にはもってこいのスキルだ。

 そして今回のこのデカブツ相手に使う理由はただ一つ、鈍い分斬撃を短時間でより重ねられるところから一気に勝負を決めるつもりだ。


「抜刀法・参式――裂牙烈風ざがれっぷう!!」


 一瞬で相手に幾重もの斬撃を浴びせるこの技、やはり一気に殺界のクリティカル乗算が上がっていく。

 巨人の皮膚は岩のように硬く、基本的にレベル100からと高レベルの強敵。しかし皮膚の表面には最初の一撃から少しずつ傷口の深さが増していっている。


「もう一度!!」


 全方位を攻撃する絶空乱舞刃ぜっくうらんぶじんよりも、範囲は正面に絞られるが攻撃ヒット数を稼げる裂牙烈風ざがれっぷうの方がこの場合相性が良い。


「グォオオオオオオ……アアアアアアアッ!!」

『流石に少しは効いてきたか……!?』


 本来ならば十人弱程度の高レベルパーティを組んでからようやく巨人一人を相手にできるようなものだが、俺は既にLv120を超えているし、ベスも引き継いだ時点ならLv120はある。同格のレベル100超えが二人なら、巨人を相手にも渡り合っていける。


「あらあら、さっきからジョージばっかり相手にして、妬けちゃうわぁ」


 巨人の足下から槍を突き刺し、棒高跳びの要領で肩まで一気にベスは駆け上がる。


「これなら、こっちを見てくれるかしら?」


 そしてベスは槍をしっかりと握り、既に生気を失っている筈の眼に深々と槍を突き刺した。


「ッ!? グォオオオオアアアアアアアアアアアッ!!」

『何やってんだ!?』

「何って、目を一つ潰しただけじゃない?」


 事実視界の半分を失った巨人は、激痛にさいなまれ剣を放り投げている。


「さあ、後はジョージが仕上げるだけよ?」

『仕方ない……』


 俺はステータスボードからTP回復用のポーションを呼び出すと、それを一気に飲み干してその場に空瓶を投げ捨てる。

 そして静かに腰元の鞘に治められた刀の柄を握りしめると、クリティカル倍率が既に十倍を超えた状態の、必殺の一撃をたたき込む構えを取る。


「抜刀法・終式――断罪だんざい

「――ッ!?」


 縦に一閃。王冠すらも纏めて一太刀の元真っ二つに斬り下ろす。


「ォ……ア……」


 相手がいくら体力を残していようとも、これだけの倍率クリティカルがかかった状態で、更に抜刀法では一番基本の攻撃倍率が高い終式をまともに受けてしまえば、一瞬にして体力(LP)は一気にゼロへと追いやられる。

 ――巨人は悲鳴を上げる間もなく、その場に二つの肉塊となって崩れ落ちていった。

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