第二節 三人目 1話目
「それでは、お気をつけて」
『ああ。お前こそ、何かあったら三人を引き連れてこっちに【転送】するんだ』
「承知しております……この数字が、緯度と経度を示していて、こちらの地図と照らし合わせればよろしいのですね?」
『そうだ。とはいっても、殆ど国内でしか動く予定がないから、直接【転送】が出来なかったとしても近場に寄ることができるだろう』
その為にも俺は機械に疎いラストでも分かるようなGPS受信機をクロウに作って貰った訳で。あの三人に任せても良いかもしれないが、いざという時にパニックにならずに動けるのはやはりラストしかいない。
とはいっても、そもそもこの村自体レリアンの近くにあるのだから、治安的には全くもって問題ない。衛兵にもそれなりの装備を寄付という形で渡してあるし、そこらの野盗が来たところで軽く返り討ちにできる。
『では調査に行ってくる。早速一ヶ所だが遺跡が見つかったようだから、まずはそこから』
「くれぐれもお気をつけくださいませ、主様」
『ああ。お前もな』
こうして俺は、今作において初めてのソロプレイを開始することになった。
目的地はウンハーン遺跡。レベル的には60程度と中堅組のレベル上げには最適なエリアだが、ソロで潜るとなれば油断は禁物だ。
村からは馬を借りることができたのでそれで近くまで向かっているが、その道中も完全に安全とは言いがたい。
「急がなければ……あのオラクルの謎を解かない限り、ラストを前線に出すことは難しい」
ああいった神のなんとやらはだいたい現実でも遺跡だったりで起源が分かったりするもの。ベヨシュタットの遺跡を片っ端から探っていけば、いずれは尻尾を掴むことができる筈だ。
俺は道中を急ぐために、更に馬の手綱を振って走らせていった――
◆ ◆ ◆
「――ここがウンハーン遺跡か」
入り口には岩を削って作られた柱が両脇に建てられ、その奥へと続くような横穴が俺を誘う。
「……まあ、一日もあればクリアできるだろう」
軽い気持ちで入って一週間でられなくなる……なんてことは無いと思うが。
「――あらぁ? もしかしてあの後ろ姿、ジョージじゃなぁい?」
世の中にはブラックリーチっていうダンジョンがありましてですね(暗黒微笑)。
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