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第五節 駆け引きと取り引きと線引きと 3話目

「いろんなお店が並んでいますねー」

『そのようだな』


 テクナッチ港のような露店が建ち並ぶ市場ではなく、建物に看板が掲げてあり、興味のある店のドアを開けて入るという現代に近いような形式の店が道路の両脇に立ち並んでいる。中には昔ながらの形式を取りたいのか建物から少しはみ出たような露店もあるようだが、いずれも市場よりは人の賑わいが大人しいように思える。

 そんな街中を、俺はラストを連れてシロさんとともにマルタの後をついていっている。


『その辺も文明人らしく発展してるってか?』

「というよりも本来ならば道を往来しているはずの人々が店内に入ることによって静かに感じる、といった方が良いかと」


 流石はリアルで金融機関に務めていただけのことはあるのか、シロさんは現状における人の流れを完結に説明してくれる。


「これは良いことでもあるのですが、逆に言えば先程ジョージさんがおっしゃった通り、活気づきにくいというデメリットもあるようです」


 そういってシロさんはステータスボードからこの街の情報を呼び出して説明を続けてくれるが……正直言って普通のサラリーマンには何が何だか分からない。その為か自然と耳から耳に話がすり抜けていっている。


『ま、まあ文明が進化するのも一長一短といったところか』

「ええ、そうなりますね。人の流れを考えて一つの街を運営しなければなりませんし、なにより我々にはまだ起きていませんが、昔でいうマシンバラのような大型都市の場合、資材供給のルート確保や普段なら提訴されないような住民の不満の解消等、高い文明であればあるほど縛りも増えるようですよ」


 まあそうしないと科学ってすげー! で全部蹂躙されるだろうからな。妥当なバランス調整といえるだろう。多分。


『まあクロウのような輩は発明の為に知力(INT)器用さ(PRO)を上げなくちゃいけないし、そもそも打たれ弱いからそれでイーブンといえるか』

「そうなんですよね。自然とステータスも極振りの一辺倒になるのでそこさえ突ければなんてことは無いですから。……まあ、同じ極振りでも貴方の場合は別でしょうけど」


 そういってシロさんはにこりと笑っているが、あんたもあんたで中々に敵に回したくないステ振りやってるんだよなぁ。


『……あっ、それはそうとシロさん。例のやつはどこにいるんです?』

「例の――って、ジェラスのことですか? 彼女には少しおつかいを頼んでいます。それにご心配なく。彼女にはクロウさんが作ったGPS装置を持たせていますので、道中サボったりした場合は即座に首が絞まるようになっています」


 ……完全に犬と同じ扱いだな。流石に可哀相になってくる。


「それに上手く行った場合のご褒美も用意してありますので、寄り道せずにきちんと帰ってくるかと」


 キッチリ飴と鞭を用意している辺り、シロさんも用意周到といえる。これならばラースのようなあくまで自分が格上だという信念と実力を持っているような奴でない限り、いずれは観念し陥落することになる。


『相変わらず、相手の心を折るのが好きですね』

「ええ、楽しいですよ」

「ははは……そうですか……」


 皮肉を笑顔で返されてしまうと、俺も苦笑いを浮かべざるを得なくなる。

 それにしても――


『以前店をまだ持ちたくないと言っていたが、やはり憧れはあるようだな』


 冷やかしになると思われていても構わない。ただ多くの店に出たり入ったりを繰り返すマルタの後ろ姿を見て、俺は以前と同じ店を持たせる案を進めようと考えた。


「あの子の品揃えと目利きは確かなもののようですからね。ギルドに直接物資等卸して貰えるようであれば、ボクも協力しますよ」

『そうだな……ひとまず、もう少しだけ様子を見るとしようか』


 事を急く必要は無い。最終的に確実にこちら側に引き入れられるチャンスは、いくらでもあるのだから。

 正式サービス開始回の前くらいに、一度主要キャラのステータス公開の番外編を設けようか考え中です。

(´・ω・)


 ここまで楽しんでいただけたのであれば、恐縮ですが評価等いただければ幸いです(作者の励みになります)。(・ω・´)

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