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引退していたVRMMOの続編が出るらしいので、俺は最強の“元”刀王として、データを引き継いで復帰することになりました  作者: ふくあき
献身の章 ~レクイエム~

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第八節 王の証明 1話目 

「っ、はっ!? はぁっ、はぁっ……」


 何だったというんだ、今のは……。


「導王が、死んだ……?」


 そもそもこの世界(ゲーム)に入ってからは、夢らしい夢を見てこなかった。しかし俺が先ほどまで見ていたのは、人によっては悪夢と呼べるもの。


「一体、どういうことだ……ッ!?」


 窓が突き破られ、細く鋭い切っ先が俺の眼前へと迫ってくる。俺はそれをベッドの近くに潜ませていた羽々斬(ハバキリ)によって、かろうじてはたきつけることでいなすことに成功する。


「……目覚ましにしては随分と荒い起こし方をするじゃないか」


 昨日は防具そのままに寝ていたお陰か、寝起きでもほぼフル装備で事を構えることできている。そうして俺は軽口を叩きながらも、心変わりをしてしまったジェイコブに対して注意を払い続ける。


「貴様……よもや主様に対してこのような真似をするとは……!」


 隣で寝ていたラストの方も、とっさの【空間歪曲エリアルディストーション】で守ってくれていたようだが……いずれにしても、穏やかな朝とはいかない様子。


「寝ぼけたことを言いおって……貴様が、大いなる主を!!」


 俺に切っ先を向けていたのは、ほかならぬ聖剣七人衆が一人、ジェイコブだった。その鬼気迫る表情は、最初に相対した時とは比にならぬ殺意が伴われている。


「大いなる主……はっ!?」


 続いて何か大きな物体による横薙ぎによって、俺が止まっていた宿屋は上下真っ二つにわけられる。


「……ガイデオン、お前もか」

「気軽に名前を呼ぶんじゃねぇ異端者が! 否、“王殺しの大罪”を犯した不倶戴天の敵がッ!!」


 そうして下の者など関係ないとばかりに、床ごと破壊するような衝撃を伴う縦斬りが襲い掛かってくる。


「チィッ!」


 とっさにラストを抱えてベッドから落ちるようにしてそれを回避、そして俺は続けざまに足を切り払うかのように刀を地面に這わせる。

 しかしガイデオンは刃を地面に突き立ててそれを阻止、互いに体制を立て直し、改めて相対することに。


「まったく状況が分からんぞ!」

「状況が分からないだと……? 貴様、寝言は死んでから言いやがれぇいッ!!」


 ガイデオンの暴力的なラッシュは俺だけを狙っている様子から、俺はラストにこの場の離脱を指示することでジェイコブを引き付けさせ、戦況を分離させることに。


「ひとまず散らばるぞラスト!」

「っ、ですが主様!!」

「よそ見をしている暇があるのか!」


 宙を飛ぶラストを追いかけるように、ジェイコブは屋根伝いに跳躍し、ラスト相手に空中戦を仕掛けようとしている。


「その通り、よそ見をするなラスト! こっちはこっちで何とかする!」

「何とかできると思うな!! この大罪人が!!」


 ガイデオン一人なら、俺だけでもなんとかなる――いや、そういう考えはよくない。目の前の敵に集中するべき。

 しかしながらどうして、相手が言っている意味がまったく理解できない。俺が導王を殺しただと?


「まったくもって身に覚えがないが……だがあの夢、まさか――ッ!?」


 ガイデオンの大振りの一撃を、俺は刀を突き立てて防御する。しかしガイデオンの筋力評価はSSSを超えているのか、まるでグスタフさんでも相手にしているかのような筋力差を感じる。


「ガハァッ!!」


 ここに来て初めて、まともな筋力差による鍔競り合いの敗北を喫する。ガイデオンによる乱暴な一撃のもとに俺の体は吹き飛ばされ、民家の屋根にその身を叩きつけられる。


「逃がすか!! 地烈崩壊斬グランドシャターァ!!」


 両手剣を片手に持つことができるガイデオンのみが放つことができる、高高度から放たれる刃の振り下ろし、そして叩きつけ。


「っ、縮地しゅくち!!」


 とっさの移動スキルによって落下地点を即座に離れるが、破壊の余波は俺の思った以上に凄まじいものだった。


「きゃああああっ!」


 まともに叩きつけをくらった民家の跡地には、もはや何一つ跡形もないクレーターだけが残されている。


「……どうやら本気みたいだな。導王が守ってきた民すらも巻き添えにするなんて――」

「その大いなる主を民から奪い取った貴様に、言われる筋合いなどないッ!!」


 確かにお前達からすればそうかもしれないが、俺からすれば因縁をつけられて勝手に襲われているだけ。


「一旦剣を置いて話し合いを……というのができるようなたちではないか」


 仕方ない。こちらも身を守るためだ。本気で抵抗させてもらおう――

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