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第三節 真相を知りたくば…… 1話目

前回が少なめだった&書き溜め在庫に余裕があるので追加でい(´・ω・`)

 結局その日は夜も遅くに家の前に到着。三人娘は先に寝たのか、迎えに出てくれたのはグリードだった。


「……どうやらその様子だと、オラクルとまた遭遇したようだな」

『直接はしていないがな。ラストが先に察知できたおかげで難を逃れた』


 家の中へと入ると、既にリビングの灯りがついている。その暖かな光に照らされたことで、自分が一番知っている安全な場所に戻ってこられたことへの安心感が実感として湧いてきたのか、ラストは徐々に落ち着きを取り戻していった。


「…………」

『少しは落ち着いたか?』

「はい……感謝いたします、主様」


 ソファに腰かけ、隣に座るようにラストの手を引く。普段であればここで調子に乗って抱き着いてくるなりしてきてもおかしくないのだが、今回は素直に隣に座ると共に、おずおずと距離を縮めてくる。


『気にすることはない。今日は俺の傍にいろ』

「では、お言葉に甘えて……」


 普段であれば調子に乗ってあれやこれやといかがわしいことを仕掛けてくるであろう彼女が、これだけしおらしい態度になってしまっている。そうなると、俺の方も調子が狂ってしまう。

 肩身を狭くしているラストの肩を抱き寄せ、ひたすらに近くに俺がいることを認識させる。大丈夫だ。装備も全て戻ってきたし、今の俺には名刀“千鳥”という新たに強力な武器を備えている。

 そうしてラストを勇気づけながら、先程まで何があったのか、詳細も含めて全てグリードに話すことにした。


『――ということがあったんだ』

「――なるほど、それは中々大変だったな。それにしても“パラドックスクエスト”か……私が即席で考え付いた名前と同じ名前をアップデートで使いおってからに」

『そういえばラストの過去について知ることができるクエストもパラドックスクエストだっけか』

「ああ。でもこっちは正真正銘、過去に飛ぶクエストだがな」

『マジかよ……』


 過去で下手うってしまった場合、現在に戻ってきたときに色々とこじれそうな予感がする――というか、戻ってこられるのか?


「ふふふふ、まあ好きな時に受けるがいい。何なら出入り口となるワームホールもサービスとしてここで創ってやろうか?」

『またビル群のある世界に飛ばされなければいいがな』

「おい、下手なこと言うと本当に飛ばすぞ」


 などという冗談も交えつつも、俺は現状のオラクルの扱いについて、グリードから聞いていたものとの違いを改めて再確認した。


『オラクルについてだが、あんたの言い分だとあれは単なるバグフィックスプログラムで、主にあんたを探しているって話だったろ?』

「ああ。その為にカテゴリである“七つの大罪(セブンス・シン)”でスキャンをかけて襲い掛かるようになっている筈だ」

『しかし三代目剣王が呼び寄せた時や、今日のクエストの雰囲気からして、まるで信仰を受けた神のような扱いをされていたぞ』

「……もしかしたら、私ではなく“プロデューサー”側――今の開発陣が、オラクルの設定をもっと別の意図でもって変えている可能性があるな」


 そんなことがあり得るのか?


『元々はただのバグフィックスプログラムだろ? それがどうして――』

「今回のアップデート、お前はよく確認したか?」

『一応一通り目を通した。確かパラドックスクエストの追加と、新しい武器シリーズの――』

「その武器シリーズの特攻効果の相手がオラクルだということも?」

「…………あ」


 それは初歩的な見落としだった。というか、わざわざ特攻武器を実装させるということは、プレイヤーに戦わせようとしているってことか!?


「恐らくオラクルは一般的には従わせることができない。だが三代目剣王やお前の言っていたビトレイヤという男のような、一部の特殊なNPCが従えてくる可能性があるということだ」


 グリードはそう断言するが、俺はそこにもう一つ可能性を付け加えたい。


『――そこに一部プレイヤーが絡んでる可能性は?』

「……プレイヤーだと?」

『ああ……例えばバトラのような開発協力者にゲーム内でのそれなりの地位を与えたように、一部プレイヤーに対して七つの大罪(セブンス・シン)に対抗できる強力な戦術魔物タクティカルモンスターとして明け渡しているとか――』

「ふん、そんな一部プレイヤーに過剰な肩入れをするなど、獄中にいるであろうプロデューサーの意に反する。まっ、今のシステマがどう考えているか、私が知る由もないが――」

「ミーを呼んだかナ?」


 お前いつも何とも言えないタイミングで来るよな――って、まずい。


『離れろグリード! こいつはお前を見つけて――』

「ストップ、ストーップ!」


 無駄と分かっていながらも腰元の刀に手を伸ばす俺を、システマは必至で止める。


「そもそもさぁー、ミーがグリードを消そうとしているっていうスタンスからして勘違いしているヨ!」

「勘違い、だと……?」

「そうだヨ! そもそもオラクル関連はミーの想定外、外部委託した開発会社が、勝手にオラクルプログラムを見つけて改造しちゃっているんだ!」

『一体どういうことだ!』

「まあまあ、落ち着いて話をさせてくれヨ。夜はまだ長いんだからサ――」

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