表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

131/193

第八節 王対王 1話目

「うぉおおおー!! 押して押して押しまくれ!! この戦況は前線のそれがし達が握っているんだぞ!!」

「うぉおおおおおおおお!!!!!」


 グスタフの一声を皮切りに、前線での重圧な雄叫び――いや、咆哮に近い声が、戦地に響き渡る。そしてそれは前線だけではなく、ベヨシュタット側全員にとっての鼓舞となる。

 前線は完全に押せ押せ状態で、乗りに乗った集団が敵を押し返しつつある。


「流石はグスタフさん……あの人の声は音響石サウンドストーンいらずだ」

「うぉおおお!! やってやるぅうぁあああああ!!」


 そして俺の部隊の中にも一人、呼応するように叫ぶ幹部バカもいる。もちろん、いい意味でだが。


「キョウ、うるさい」

「いいじゃねぇか!! 俺はあの人の気概が好きなだけだ!!」


 そうだな。俺も、気合が入るってもんだ! 


殲滅し引き裂く剱ブレード・オブ・アニヒレーション、いざ参る!!』

「くっ……なんだ!?」

「そ、側面から奇襲だ!!」


 砂丘の裏に隠れながら移動をし、キョウの叫びを皮切りに奇襲開始。それまで見えなかった敵兵の全貌が、俺の眼前に現れる。


「それにしても、なんて規模だ……」


 百、千――否、万を超える大隊。そして味方もまた、貴族の支援によって集められた冒険者、兵士、あるいは別のギルドから雇われたプレイヤー、合わせて七千を超える人間がここで戦っている。今は姿を見せていないが、オラクルが出てくるのも時間の問題だ。


「おおおああああぁ!! 俺が全員ぶった切ってやらぁ!!」


 切り込み隊長――キョウが猿叫に近い叫び声をあげながら、闘士ファイター達を次々と斬り捨て、俺たちが突き崩す道を作り上げていく。


『全員キョウに続け!! 俺達も手柄を立てるぞ!!』

「おおおおおお!!」


 横からの奇襲により敵内部で乱戦、それによって前線はさらに押し込みやすくなる。


闘士ファイターと戦うときは鉄皮甲アイアンスキンは頭に入れておけ! 剣が弾かれたとしても怯むな!』


 五体を武器にして戦うのが、拳王率いるナックベアの軍の主力の戦い方。しかし今作ではそんな軍勢の中にも剣士がいて、魔導士もいて、銃士ガンナーもいる。だが基本的に同じ前線にいるのは近接組だ。


「うぉぉ! やぁ!!」

「邪魔だ、どけ!」


 抜刀法・参式――霧捌きりばちッ!!


「のごぁあ!」


 乱戦なら参式一択。次々に敵を巻き込み、斬り刻み、戦場に穴を開けていく。それに負けじと、キョウも、チェイスも、皆それぞれが敵と戦っている。


「今のところ魔法の気配もない。狙撃もない。向こうは本気で数で押し切るつもりだったのか?」


 だったら一人十殺の意気込みで行けばいいか。


「俺は一人百殺でも千殺でもやるつもりだが――っ!!」


 飛んできた銃弾を弾き、俺は即座に弾丸が飛んできた方向を見やる。


狙撃部隊スナイパー……もうそこまで押し入っていたか」


 それまで優勢だった前線も停滞、硬直まで追い込まれる。それまで一丸となっていた味方部隊も、敵と乱戦に持ち込むことで早々に狙いをつけにくくしている。

 遠距離職が手を出し始めたということは、敵の後衛に近づいているということ。そうなったら俺達も行動を変更しなければならないが――


「――あれは!?」


 味方の内の一人が、狙撃手を探して双眼鏡を覗いていると、驚愕の光景を目にしたようだ。


「槍を持った女が単独で狙撃部隊スナイパーに襲撃をかけているぞ! どんどん倒していってる!」

「こっちの魔導士部隊も、後衛に攻撃を開始したようだぞ!」

『……どうやら、ベス達がいい所を持っていったようだな』

「かぁー! 今回は槍の大将が大手柄か!」


 このままチェーザムまで雪崩れこめば、領地を獲れる。


「行くぞぉ皆の衆!! チェーザムまで攻め込めぇええ!!」

「おおおおおお!!!!!」


 再びの雄叫びを挙げ、ベヨシュタットの進軍は続いていった――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ