私たち、グルメな旅の途中なんです!
私たちは旅をしている。
何も決まりはない。自由気ままな旅だ。
強いて言うならその土地の美味しいものが食べたいくらいだ。
「ん、いい匂いがする」
不意に後ろを歩く彼がそう言った。
「私が食べてるからね」
私は手の中にあるホットドックをもう一口食べながらそう答える。
「あれ、なんだか寒いね」
歩いているとぽつぽつと雪がちらつき始めた。
寒い国だとは聞いていたが雪が降ってくるとは。
「雪が降ってきたもの」
彼は身震いして手をポケットへと突っ込んだ。ちらりと見ると白い息を吐き出しながら歩いていた。
「……次の街はどんな景色だと思う?」
青い青い海の底のような瞳を伏せながら彼がそう言った。
「きっとこの世界で一番美しいところよ」
私はいつもと同じ決まり文句を言いながらホットドックを食べ終えた。
彼は、目が見えない。