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謹賀新年(すべての主人公の場合)

 何もない、ただただ真っ白な世界。地平線も水平線も見えない、どっちが上でどっちがしたかもわからない世界に、7つの点があった。否、それは多少の姿形は違うものの、人の姿をしていた。


「ですから、ブラッディ―さん、着方が違いますって。ここをこうしてこうです。」


「むぅ、星流よ、そなたらの世界の服とは、なんとも面倒なものなのだな。」


 そのうち、一人の少女が、もう一人の男に裃袴を着せようとしていて、当の男も難しい顔をしている。


「うへへ、リリムさ~ん、僕が着付けてあげますねぇ。」


「...ごめんなさい、こちらの方にやってもらうわ。あなた、なんか怖いから。」


 別のところでは、一人の少女が蝙蝠の羽が生えた女性に着物の着付けをしようとして断られ、落ち込んでいる場面もあった。


「ていうか、美湖さん。同性の渡したから見ても少し気持ち悪いですよ。」


「そんな!!ストレートに言わないでよ美羽さん!!僕でも落ち込むんだからね。」


「はぁ、いったいここはどこなのかしら。」


「ほんとにな。しかもこれは元の世界の着物、振袖と裃袴だよな。」


 と、ほかのみんなの様子を傍観していた二人がため息をつく。


 男―ブラッディ・ディザイア―に、裃袴を着せようとしている少女―鈴谷 星流―、リリムと呼ばれた女性に断られた赤髪の少女―従 美湖―、冷たく反応した水波 美羽、その様子を離れたところから見ていた、奉服 九麗亜、隷遵 歩の、7人が白い世界に集まっていた。


「さて、準備されていた服は全員着たけどさ。僕たち、結局ここにどうして集められたの?」


「さぁな。我も気付いたらここにいた。ったく、城に下僕を残しておるというのに。」


「私もよ。まだまだ仕事も残っているのに。」


 美湖、ブラッディ、リリムがつぶやき、ほかの者たちが同意する。

 すると、白い世界に、光が現れた。


「どうも、皆さん。ごきげんよう。」


「あ!僕をストライドに送り出してくれた女神さま!」


 現れたのは、元の世界で死んだ美湖を、自身の管理する世界『ストライド』に転送した女神・デュナミスだった。


「お久し振りです、従 美湖さん。そして、初めまして、皆さん。私は、管理神デュナミスと申します。

 皆さんをこの世界に呼んだのは私です。皆さんには、どうしてもしていただきたいことがありますので。」


 そういうと、デュナミスは指を鳴らす。すると、白い世界に太陽が昇り、筋の屏風、5畳の畳が現れた。


「日本から転生した五人なら、私が望んでいることがわかると思います。」


「あ~、うん。多分わかりましたよ、女神さま。」


「ええ、これほど露骨に準備されると、さすがに、ね。」


 デュナミスの言葉に、美湖と九麗亜が返す。美羽、歩、星流も、苦笑いながらうなずいている。


「はは、では、お願いしますね。これは、私よりも上の者の意思なのです。」


 そういうと、デュナミスは光になって消えてしまった。


「ここまでされると、なんかやりにくいですね。」


「だな。だが、逆にやらないと申し訳ないっていうか...」


 美羽と、歩が渋々ながら畳の上に乗る。


「おい、われらは、何のことだかわからないのだが?」


「そうね。私たちにも教えてくれない?多分、それをしないと元の世界に戻れない気がするわ。」


 その様子を見ていた、ブラッディとリリムが訳が分からないというと、


「そうですね。確かにそうかもしれません。では、とりあえず私たちの真似をしてください。」


 星流が、二人の手をひいて、畳に上がる。


「僕たちも上がろうか。」


「そうね。」


 美湖、九麗亜も上がる。


「じゃあ、ブラッディさん、リリムさん。私が最初に挨拶するので、そうしたら、こうしながら、この言葉を言ってください。他の皆さんもそれに合わせてください。それから、一言お願いしますね。」


 美羽がブラッディとリリムに、手順の説明をしていく。ほかのメンバーもうなずく。


「じゃあいきます。

 新年、明けましておめでとうございます。」


「「「「「「おめでとうございます。」」」」」」


「昨年は私たちの冒険を楽しんでくださってありがとうございました。」


「これからも、僕たちの冒険を見守ってください。」


「私たちも、頑張って新しい世界を生きていくわ。」


「俺たちの冒険の行き着く先を。」


「楽しみにしていてくださいね。」


「われらの世界政略も楽しんでくれ。」


「私のお楽しみもね。」


「「「「「「「今年も1年、よろしくお願いいたします。」」」」」」」


 最後に、7人が揃ってお辞儀をしたところで、


「皆さん、ありがとうございました。おかげさまで、私の上位神の願いもかないました。ささやかではありますが、料理を準備させていただきました。どうか、お楽しみください。」


 デュナミスが再び現れ、再度指を鳴らすと、大きなテーブルが現れ、卓上には、豪華な料理が並んでいる。


「うわ~、伊勢海老だよ!伊勢海老!!」


「数の子もあるわよ!うわっ、久しぶりだわ!!」


「こっちはお寿司ですよ、お寿司!」


「おい、これ、ローストビーフだ!うめぇ!!」


「私、伊達巻大好きなんですよ。美味しい~。」


 日本組が、ごちそうをほおばる中、


「おお、この肉はうまいぞ。口の中で溶けてしまう。」


「このお酒、透明でいい味だわ。」


 ブラッディは、飛騨牛のステーキを優雅に食し、リリムは、日本酒をお猪口でクイっとやっている。


「ほらほら、リリムさん、このエビの刺身美味しいですよ。」


「へぇ、どれ...う~ん、とぉっても濃厚なのね。」


 美湖が差し出した伊勢海老の刺身を、リリムが食べる。


「ブラッディさん、こっちの数の子も美味しいわよ。」


「おお、面白い食感だな。これはいい。」


 九麗亜が勧めた数の子を食べたブラッディが舌鼓を打つ。


「こういうのも、最初はとまっどたが、案外楽しいもんだな。」


「そうですね。こんなにごちそうも食べれて、楽しいひと時です。」


 その光景を見て、歩と星流が微笑みながら、自分の好きなものを食べている。


「今年も一年、頑張っていくぞ―!!」


 伊勢エビをほおばりながら、美湖が叫んでいるのを、ほかのメンバーが微笑みながら、食事を続けていく。




~神界~


「ふふ、いずれ来るあの者たちの邂逅。再び集まるのが楽しみですね。その時は、私も解放されるのかしら。」


 美羽、美湖、九麗亜、歩、星流、ブラッディ、リリムが食事をする光景を見ながら、管理神・デュナミスは微笑みながら彼、彼女らが楽しむ姿を眺めているのだった。




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