カラオケ(美湖の場合)
ウーサメイジョアーの塔の攻略後、出発前の話になります。
美湖は、朝起きたら不思議な空間にいた。いつも寝起きしている屋敷の自室ではなく。
「......あれ、ここどこ?」
寝ぼけているのか、周囲をきょろきょろとしている。が、意識がはっきりしてきたことで、少し慌てだした。
「ねぇ!!ここどこなの!!?ユーナちゃん、アリサちゃん、スーリンちゃん、みんなどこーー!!」
美湖は、その不思議な空間を走り回る。しかし、ずっと同じ景色が続くだけで、ユーナや、アリサ、スーリンたちが現れることはなかった。
「うう、グズ、僕、もう、みんなに合えないの......」
「そんなことはありませんよ。泣き止んでください。」
美湖が落ち込んで泣いていると、どこからか聞いたことのある声が聞こえてきた。
「お久しぶりですね。従 美湖。元気にしていましたか?」
「あなたは、あの時の女神様!?」
そう、美湖の前に現れたのは、彼女を異世界に送り込んだ女神様だった。
「ええ、どうやら元気そうですね。」
女神さまは、柔らかな笑顔を見せるが、反対に美湖の表情は暗くなる。
「だめですよ。僕はもう、みんなに会えないんだ。元気なんて出ませんよ。」
「?なにを言っているのですか?ここは、あなたの夢の世界なんですよ?ここ最近、あなたが頑張っているので、少しご褒美に楽しい夢を見せてあげようかと思ったんです。」
女神さまは、首をかしげながら答える。すると、暗くなっていた美湖の表情が明るくなり、
「あ~~~~、よかった~~。でも、神様が一個人にこんなことして大丈夫なんですか?」
「ええ、問題ありません。だってこれは神託でも何でもない、ただの夢なのですから。この夢を見たからと言って、極端に世界が変わるなんてこともないでしょうしね。なんせ、あなたの欲望の一部を満足させるだけなんですからね。」
そういうと、女神さまは、指をパチンと鳴らした。すると、周囲の景色がゆがみ始めて、色合いを変えていく。何もなかった空間には、いくつかの何かが現れる。それらは形を形成していき、美湖の知るとある場所を作り出した。
「って、なんでカラオケボックスなんですか!?しかも、僕の服装も変わってるし!!」
そう、改変された場所は、美湖の元の世界にある、とあるカラオケボックスだったのだ。大きな液晶テレビに、カラオケマシーン。大きな柔らかいソファーがテーブルをコの字に囲うように置かれている。部屋は薄暗く、テレビの光がより明るく見える。そして、美湖の服装だが、半そでのカッターシャツに蝶ネクタイ。青色のチェックのプリーツスカートにハイソックス、ローファーといういでたちだった。
「久しぶりでしょう?この部屋で、ストレス発散と行きましょう。今日は特別にゲストを読んでいますよ。」
女神さまは、手をパンパンと叩く。すると、光に包まれて、ユーナ、アリサ、スーリン、エイルの4人が現れる。しかも、彼女たちも美湖と同じように学生服を着用しての登場だった。
「わっ、ご主人様、ここは一体!?」
制服姿になったユーナが驚いている。その後ろでは、アリサやスーリン、エイルも同じように戸惑っていた。
「ふふふ、ここは夢の世界。あなたたちは今宵、主人の元居た世界の娯楽に触れるのよ。そして、このひと時を思い切り楽しんでください。あ、そうそう、美湖。この4人には、あなたが以前聞いていた音楽の情報をすべてインプットしておいたわ。多少は楽しめるはずよ。では、ごきげんよう。」
女神さまは、いたずらっぽい笑顔を浮かべ消えていった。
「えーっと、とりあえず、ここはカラオケっていう、僕が元居た世界の遊び場で、歌を歌う場所なんだ。」
「歌、ですか?」
「そう、それも、親しい仲間たちなんかとね。さっき、女神さまが音楽の情報を記憶に入れたみたいなこと言ってたけど、みんなの記憶に、そんな音楽あるかな?」
美湖がみんなに聞くと、それぞれ、今まで知らかったけど、今はよく知ってる曲が何曲かあるらしい。
「じゃあ最初は、僕がお手本代わりに一曲歌ってみるから、みんなは見ててね。」
と、自分の得意な曲を入力して、マイクを手に取る。
「ご主人様、その棒は何ですか?」
ユーナが、不思議そうに尋ねてくる。
「ああ、これはね、マイクっていう道具で、使う人の声を大きくすることができるんだ。」
美湖の説明に、ほかのメンバーも興味津々だった。
「ははは、じゃあ、一曲目歌いまーす!」
そして、曲が流れる。
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「ふぅ、どう?、こんな感じで、自分の知ってる曲を歌って、みんなと競争したり、ストレス発散になったりするんだよ。」
と、自分が歌って見せてみると、
「おお、ご主人様。この遊びは、聞いているほうも楽しいですね。音楽に沿って、あの箱の中で演劇が始まるのは楽しいです。
とユーナが。
「音楽も大きくて、それにご主人様の声もきれいで、聞いてるだけで満足できそうだな。」
と、アリサが。
「はふぅ、心地よくて眠ってしまいそうですぅ。」
と、アリサが。
「この娯楽は楽しいものだな。よし、次は私が歌うとしよう。」
と、エイルが、二番手を名乗り出る。
「お、いいよいいよ。エイルさんは何を歌うのかな?」
「実は、気になっている曲があるのです。初めてなので、うまく歌えるか不安なのですが、張り切っていきます。」
そして、美湖に音楽を入力してもらい、エイルは立ち上がり曲を歌いだした。
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歌い終わったエイルは、やり切った顔をしてソファーに座った。
「うん、エイルさん、すっごく上手だね!」
美湖は抱き着く勢いで、エイルに近づく。エイルも少々頬を赤くして、
「ありがとうございます。これは楽しいものですね。」
と、美湖に返す。
「じゃあ、次は私が歌ってみるよ。」
アリサが、マイクを手に立ち上がる。美湖に音楽を入力してもらい、音楽が始まると歌いだす。
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アリサが歌い終わる。
「うん、アリサちゃんは元気に歌うね。」
美湖は、少し残念そうな顔で、アリサに感想を述べた。
「ん、どうしてご主人様はそんな顔をしてるんだ?」
美湖がアリサを、残念そうな顔で見た理由は、アリサが音痴だったからだ。だが、楽しそうに歌う姿を見ていて、直球で言うのはなんだかためらわれた。
「ふふふ~、ご主人様ぁ、次は私が歌いますねぇ。」
そう言って、マイクを片手にスーリンが立ち上がる。その拍子に大きな胸がプルンと揺れる。
「相変わらず、スーリンちゃんの胸は大きいね。」
音楽を入力しながら、美湖はその胸に釘付けになった。音楽が始まると、スーリンは曲に乗って歌いだした。
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「ふぅ、これはいいですねぇ。とても楽しいですぅ。」
「スーリンちゃんの声は癒されるなぁ。」
という美湖だが、スーリンが歌っている間、終始スーリンの胸を凝視していた。
「ご、主、人、様?どこを見てるのですか?」
ユーナが、目が笑っていない笑顔で美湖に詰め寄る。美湖は、目を泳がせるだけだった。
「まったく、次は私ですね。ご主人様、この曲をお願いします。」
美湖が音楽を入力し、曲が始まると、ユーナは歌い始めた。
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「ふぅ、どうでしたか?ご主人様?」
歌い終わると、美湖に感想をねだるユーナ。
「すごい、歌も上手なんだけど、それよりも、ユーナちゃんに引き込まれそうになったよ。」
「私も、ユーナさんがすごく魅力的に見えてた。」
「ふふん、ハーフとはいえ、サキュバスの力を持っているのです。人を魅了する力は健在ですよ!」
と、胸を張るユーナ。美湖は、少々興奮気味になってしまったので、
「ちょっと、ここらで何か食べようか。カラオケには、こういう風に、軽くつまめるものや、飲み物を提供してくれるサービスもあるんだ。」
と、メニュー表を開くと、ほかの4人が興味津々にのぞき込んでくる。
「うわ~、見たことのない食事がたくさん載ってます。しかも、この絵、すごく鮮明ですね。」
「お、この『鉄板焼き』てのはうまそうだな。」
「私はぁ、この『イチゴパフェ』がいいですぅ。」
「この、『グレープジュース』を頼もうかな。」
「オッケー。」
美湖は、全員の注文を聞くと、壁に取り付けられている受話器を取り、
「もしもし、ルームサービスの注文を...
えーと、『フライドポテトの山盛り』と、『鉄板焼き』、『イチゴパフェ』、『グレープジュース』、『カルピス』、『メロンソーダ』をお願いします。」
美湖は、受話器を置くと、
「さて、食事が来る前に、もう一曲歌いますか。」
と、音楽を入力して歌い始める。
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美湖が歌い終わると、部屋のドアが開き、
「お待たせしました。ご注文の品をお持ちしました。」
「って、何で女神さまがウェイターをしてるんですか!!?」
料理を持ってきた女神に、美湖が突っ込みを入れる。
「だって、みんな楽しそうなんだもの。私だって、退屈な天界にいるより、ここであなたたちを見てたほうが何倍も楽しいもの。」
そういうと、女神は端末を操作して曲を入力する。
「次はわたくしが歌います。」
そう言って、マイク片手に歌いだした。
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「女神さま、歌うますぎ。」
女神が歌い終わった後には、美湖のつぶやき以外何も出てこなかった。
それからは、軽食をつまみつつ、みんなで歌って過ごした。
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「っは、ああ、夢か~。それにしても、楽しい夢だったな。」
美湖はそう言って、自室からリビングに向かう。すでにみんな起きており、おいしそうな朝食の香りが漂っていた。
「あ、おはようございますご主人様。今日の朝食はどうですか?」
ユーナが美湖に気づき、挨拶をしてくる。そして、ユーナに促されて食卓を見ると、
「え、どうして?」
そこには、美湖が夢の中で注文した食事に限りなく似たものが再現されていた。
「ご主人様。また、あの夢が見たいですね。」
ユーナの一言に、ほかのメンバーもうなずいていた。
YouTubeで、アニメキャラでカラオケ行ってみたみたいな動画を見て、書いてみました。