プロローグ 殺人鬼です
どうもこんにちは。
ご覧になってくださり、ありがとうございます。
読みづらいなど、至らない部分はありますが、どうか多めに見てください。
この小説ですが、少し残酷な表現が多いので、苦手な方はご注意ください。
深夜1時半を回って、僕が空を見上げると、今日は綺麗な満月だった。
青白い光が心地よく感じる。
さて、ところで満月の夜には、「人殺し」が増えるらしい。
昔、何かの本で読んだのだったか、記憶が定かでないのだが、平均して10件前後普段より多く事件が起きると聞いた。
ただ、これに関してはまったくのガセであり、根拠のない迷信であるとも聞く。
しかし、僕はどちらかというと前者の立場で、事件は増えるのではないかと考えている。
目の前で女が呻いた。両足の太股を後ろから刃物で貫かれ血を流している。
地面に突っ伏しながら懸命に両手で、匍匐前進のようにして這う姿に、僕は爬虫類のトカゲを連想した。
月の光には不思議な力があると思う。
善良な市民を演じて、人々の生活に紛れ込む狼男は、満月を見るとその正体を露にし、野性的で暴力的な本能を目覚めさせる。
満月は、人の中にある殺人衝動を目覚めさせるのだろう。
僕が手を血で染め上げる日は、いつも満月だ。
再び、手に持ったナイフを女に振り上げる。
ナイフは右の二の腕に突き刺さる。
もう一度、今度は左側。
深く、骨に突き刺さる感触がした。
「ぎヤアああああアア」
女の絶叫。
深く突き刺したことで、今まで麻痺していた痛覚が再びお仕事を始めたらしい。
黒板を爪で引っ掻いたときに出る不快な音、この女の悲鳴はそれに似ている。鳥肌が立ってきた。
悲鳴がうるさいので、僕は女の喉元に手を当てて、思いきり握り潰した。
女の悲鳴は止み、代わりに口から呼吸音を荒く発するだけになった。
女は這い回るのを止めて体を丸くする。
僕は女の頭を掴み何度もアスファルトに叩きつけた。
手に伝わる痺れるような感触が不快だ。
数十度、繰り返すと、女の後頭部は砕け、骨は剥き出しになり、脳ミソだろうか、皺のある赤色の肉片が転がっていた。
そこでようやく、忘れていた嗅覚が甦り、鉄臭い匂いに噎せ返る。
しかし、この鉄の匂いは決して嫌なものではない。
鼻につくような匂いだが、気分を高揚させる。
「こうして、若者達の夜は刻々と更けて行くのでした。」
夜空を見上げながら呟いた。
あ、今更ながら自己紹介をこの場をお借りしてさせていただきましょう。
僕は白井 生。
殺人鬼です。