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プロローグ

 2015年――夏


 地下への階段を、ぼくはゆっくり降りていった。

「蓮、滑りやすいから気をつけて」

 父の言葉に、ぼくはいつも以上に慎重になる。後ろは父のみ、そして前はだれもいない。

 最後の一番を降りると、すぐに水道に向かう。たっぷりのバケツに水をくんで、父のそばへ運んだ。

 周りを丁寧に掃除していると、父が袋から花を出した。

「ちょっと……長かったかな」

 包みを剥がした父が、眉を寄せる。顔を見合わせて、先に口を開いたのは、ぼくのほうだった。

「ちょっと上行って、ハサミ借りてくる」

「ん、頼んだ」

 ぼくは急いで階段をのぼる。滑りやすい――その言葉も忘れて。

「―――あっ」

 気がついた時には、遅かった。

 早くも3段目で踏み外し、ひっくり返る。

「―――蓮っ」

 遠くで、父の声がした。

 ぼくの世界は、真っ暗になった。

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