7・この世界のヒロインです。
ヒロインポジション。普通ならこの境遇に喜ぶのだろうか。
否、少なくとも私は違う。
ヒロインポジション?そんなものクソくらえ。攻略対象と私がいちゃついたとこで何も需要がない。清廉で可憐な子と攻略対象なイケメンがいちゃついた方が目の保養だ。そりゃあ今の姿はヒロインらしい可愛さだけど
、そういうことではない。
それに、アートのせいで最難関ゲームに成り果てたイフエンのヒロインとか、2周目の人生にしてはハードモードすぎる。
それで、どうするかだ。
他のキャラで進めると、そのキャラもバッドとノーマルが酷い。ノーマルは自殺、バッドは心中ってことがあったりするのだ。ノーマルってなんだっけ。
それに引き換え、フェルトは比較的平和だ。
フェルト派生のアートのバッドは世界に火魔法を最大火力で撒き散らし世界滅亡だが、フェルトのバッドは婚約破棄、ノーマルは友情エンドだ。比較的平和だ。
フェルトを攻略し、見事にハッピーエンドフラグをへし折ろう。
「メル、大丈夫?ぼーっとしてるよ?」
「え、あぁ、大丈夫」
全てはこの人のいる世界を守るためだ。
アートが出てくるまであと1年以上ある。ゲーム自体も始まったばかりだ。
焦らず着実に頑張ろう。
そう意気込んでフェルトとともに学生寮へと歩きだした私はまだ気づいていなかった。
この世界は、もうとっくに歪んでいるということに。




