49・本日の夕食はオムライスです
寮に戻ると、丁度夕食時だったので食堂は混みあっていた。
どうしよう、たぶん今日もフェルトの分を作るべきなんだろうし、自分の分と一緒に作っちゃって自分の部屋で夕食を済ませた方が楽かな。
何にしようかな。そんなに時間かからないのが良いかな。
なんとなく食材を手に取りながら、オムライスにしようと決める。
明日の朝温室で食べるための食材も買わなきゃいけないので、一応イービン先生の分も手に取る。
受付に並ぼうとした時、食券を持ったエレナと鉢合わせた。
「エレナ、昨日はごめん。今日は自分でフェルトのとこ持ってくから」
そう言うとエレナは眉を下げて、私のことを気遣ってくれる。
「でも、フェルトと顔合わせたくないんじゃないの?大丈夫?」
あぁ、本当に優しい。ゲームの中のエレナとは正反対で、凄くいい子だ。まるでヒロインみたいな優しさに、心の隅で劣等感を覚える。
「大丈夫、だと思う。ドア開けてすぐのとこに置いて逃げるつもり」
「そう。もし無理そうなら私行くから言ってね。あ、メル順番来た」
受付で「次の人ー」と呼ばれていて、慌ててエレナにまたねと声をかけてから受付に駆け寄った。
部屋に戻りオムライスを作り終えて、何度か深呼吸をする。
「よし」
オムライスを載せて、前世でいうラップの様なものを掛けたトレーと置き手紙を持って部屋を出ると、すれ違う見ず知らずの女子生徒たちに「ミニッツ様のとこでしょ?いってらっしゃい」と何回か声を掛けられる。いつの間にそんな知れ渡ってるのか不思議だ。あれ、そういえば私女の子の友達作れてないような……悲しくなるのは後でにしよう。
男子寮と女子寮の境目の所にある寮母室にいる寮母さんに会釈してから、男子寮の扉を開ける。
1番手前のフェルトの部屋の前に立ち、恐る恐る扉を開ける。あぁもう、案の定ではあるけど、また鍵かけてない。
部屋に入ると、どうやら電気を付けてないようで薄暗い。物音もしないし寝てるみたいだ。よかったような、なんだか拍子抜けなような。
すぐ左手にある靴箱の上にトレーを置き、その横に置き手紙を置く。置き手紙には大したことは書いてない。メルが作りました。食事くらいはちゃんととってください。それだけだ。誰が作ったか分からないものは流石に食べたくないだろうし、フェルトは私の字かどうかが分かることを知ってるから。それ以上のことは、従者の仕事を半ば放棄してる私が言えたことではないだろう。
ちなみに、この世界ではアメリカ式で土足文化だ。しかし私はミニッツ家で従者をしていた、前世の記憶がない頃から部屋で土足なのが駄目だった。そして私に合わせて土足をやめていたフェルトも、いつの間にか土足が駄目になっていた。この世界ではそれは潔癖症扱いされがちだから、なんだか悪いことをした気がする。
さて、夕食も届けたし帰ろうとして扉を開けた瞬間、部屋の奥の方から「メル…?」とフェルトの呼ぶ声がする。
起こした…!?早く、早く戻らないと!
「メル、待って!ねぇ、メル!」
部屋から滑り出て男子寮を出て女子寮の扉を開けて、女子寮の奥にある自室に逃げる。
扉を勢いよく開けてしまったせいで、中にいたエレナをびっくりさせてしまった。
「えっと、メル大丈夫?」
「大丈夫……、じゃ、ないかもしれない」
だって、フェルトに呼ばれた時、衝動的に駆け寄ってしまいそうになったんだもの。
まだ覚悟が足りてない。大丈夫じゃない。あと2日は、フェルトを避けるって決めたのに。
「………何やってるんだろ、私」
これ、実はまだ学校始まって数日なんだよね……まだ先は長い…。お付き合い頂けると幸いですm(_ _)m
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