47・生徒会室前で待ち合わせです
放課後になり、足早に生徒会室に向かう。場所は残念ながらあやふやだったので、イービン先生に終礼前に聞いた。イフエンのファンブックに学園全体図があったから、生徒会室が何階なのかとかは分かるけど、広すぎて自分の教室があの地図でいうとどこなのかがいまいち分からないから使えない知識だった。
階段を最上階まで上り左に曲がって三つ目の部屋が生徒会室だ。九井さんはもう生徒会室の前で待っていたので声をかける。
「ターコイド先輩」
「お、来たか。先に東庭園に行ってくれ」
おそらく、私と一緒に行くのは面倒ごとが起きる可能性があるから、別々で行こうという話だと思う。
「分かりました」
「あぁ、俺もすぐ向かうから、少し待っててくれ」
先に東庭園に着き、無人であるのを確認してから椅子に座りゲームノートを広げる。
そういえばまだ攻略対象キャラの情報を書き切れてない。それを書いて、九井さんに見せられる状態にしておこう。
5人目。ヴィクアヌス・ターコイド。通称ヴィク。ビリジアンの瞳に焦げ茶色の短髪。ガードン程ではないがそれなりに体格もよく、身長はアートの次に高く、攻略対象の中では2番目の高身長キャラだ。ゲームの中での性格は、苦労人のお兄さん。これに尽きる。その性格はどうやらこの世界でも変わってないみたいだが、ゲームのときのほうが凄かった。というのも、ゲームの中だととことんガードンの世話を焼いてるからだった。個別ルートに行ってもそれは変わらず、ヴィクのファンの半分は「ガードンと幸せになって」と言うレベルだ。おかげでイフエンの二次創作はBLも多かった。
そして、この世界のヴィクの中の人は、イフエンの百合二次創作で有名だったねぎま先生、本名は九井智草さん。九井さんも面倒見がよくいい人そうだ。転生してから不安しかなかった中で、とても心強い存在と言える。
そんなヴィクのエンドは……正直覚えてないが、アートのバッドと普通のバッドでは私が死んでたはず。ノーマルは普通に友情エンドだったはずだ。まぁこれは中の人が九井さんだからルートに入ることはないだろう。
一応ヴィクルートの話は九井さんに聞くとして……。あとは書くことないかな。
6人目。ティロン・リヴェスト。エメラルドの柔らかい髪と日の光のような金色の瞳。低身長で、全体的に可愛らしい印象の後輩キャラだ。後輩キャラというのもあり、二年目が描かれる、続編、またはファンディスクともいうが、とにかくヒロインが2年生になったとき新入生としてやってくるキャラだ。……ファンディスクについてはまたあとで纏めよう。
閑話休題。
ゲームではあざといキャラだった。そして、ゲームの彼はそれだけでなく、あるトラウマから女嫌いであった。そのトラウマとは、親が蒸発して奴隷の身分に落とされ、貴族夫人に買われひどい扱いを受けたというものだった。学園入学時もまだ解放されておらず、ヒロインがティロンが自由になる手助けをしつつ恋愛する、というシナリオだった。普通のバッドでは貴族夫人に私が殺され、アートのバッドではヒロインと仲良くなってたことをアートが貴族夫人に伝えた結果ティロンが貴族夫人に拷問を受け殺される。ノーマルは例のごとく友情エンドだ。……相変わらず惨いな。
この世界ではどうなんだろう。まだ会ってないから分からないし、二年目からのキャラだから、トラウマ克服は会ったあとしなきゃいけないけど今は考えなくてもいいかな。
ティロンのことは比較的覚えている。それは、1番とは言わないが、イフエンの中でそれなりに好きなキャラだったからだ。二面性のあるキャラが好きだったのもあるし、個人ルートの後半のティロンは警戒心も解けていて可愛かった。できれば現実では酷い目に遭っていてほしくないが、もし遭っていたとしてもルートに入るとかとは関係なく助けたいと考えている。……それまでに本編のことをどうにかしなきゃいけないんだけど。
個人ルートのあるキャラのメモは終わり、懐中時計を取り出す。そろそろ来てもいい時間だと思うんだけど……。
入口の方に視線をさ迷わせると、ちょうど門が開く音がした。すぐに九井さんの姿が見える。
「すまない、待たせたな。イービン先生とばったり会って、少し用事を頼まれてたんだ」
「いえ、大丈夫ですよ。ではさっそく話しませんか?」
「そうだな、前回は関係ない話ばっかりしてしまったが、今回はちゃんとこの世界について話そう」
「ええ、そのために、私なりに纏めたノートを持ってきました。まだ思い出していても書いてないこともあるので、それも含めてお話できればと」
そう言って、私はさっきまで書いていたノートを持ち上げて見せた。
次の更新は間を空けずにできると思います。
今回も読んでくださりありがとうございました。




