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40・フェルトの夕食です

寮に滑り込みなんとか夕食をもらうことはできた。


もうピークの時間はすぎたのか人はまばらで、適当に席につき夕食を食べていると、エレナが食堂に入ってきて、私を見つけると駆け足でやってくる。


どうしたんだろうか。もしかして夕食もらえなかったとか?


「エレナ、そんな急いでどうしたんですか?夕食はもう済みましたか?」


「ええ、もう頂いたわ。そうじゃなくて、メル、フェルトと一緒じゃないの?」


「いえ......、どうかしましたか?」


エレナは私の返事に表情を曇らせて視線を彷徨わせている。まるで迷子の子供のようで、いつも凛として自信に満ちたエレナらしくない。


もしかして何かフェルトの身にあったのではないかと嫌な予感が背筋を凍らせるが、もうシナリオが始まっている以上嫌われなければならない。助けに行くことはできない。


そんな動揺が伝わらないように、いつも通りの対応を意識する。


「フェルト、食堂で見かけてないのよ…。もしかしたらすれ違っただけなのかもしれないけど、でもあいつがメルを置いて1人で食べるはずもないし。それに、部屋で作れるほどの生活力は絶対にないし。となるとおそらくまだ夕食食べて無くて、もう食堂でも貰えない時間だし、メル、作りに行ってあげてくれない?」


エレナがなぜそんなことを言うのか。私に頼むこと自体は今までの私とフェルトの関係を踏まえるとむしろ自然と言えるが、そもそもエレナはそんなお節介を焼く人ではなかったはずだ。そう、まるでサポートキャラのような、エレナの本来の立ち位置であるライバルキャラとは対極の言動をするようになるまでこの世界は歪み始めてるのか。


それに、作りに行けというのもおかしい。確かに部屋にいる確率は高い時刻ではあるが、どこか外にいる可能性もないわけではないのだ。門限は夜10時、今はまだ8時台だ。まるで部屋にいることは知っているみたいな、そんな言い方だと思ったのは考えすぎか。


ちなみに、各部屋にキッチンがおかれ、食器や調味料はそこに備え付けであり、食材は食堂で買うことができる。代金は引き落とし制だ。


「エレナが行くのではダメなのですか?」


「私、おかしは作れても料理はからっきしだめなの、メルだって知ってるでしょ」


地雷を踏んだらしくギロリと睨まれる。ごめん、エレナ。


エレナが行かず私も行かないのでは、あの生活力ほぼ皆無なフェルトは夕食を食いっぱぐれるのは必至だ。いくら従者ではなくなったからといっていきなり責任を放棄するのも無責任だ。


ふと、簡単な方法を思いつく。


「わかりました。作ります。ただし、自分の部屋で作るのでフェルトのところにはエレナが持って行ってくれますか?」


「いいけど………。もしかしてフェルトに会いたくないの?」


「……そうですね、そんなところです」


「そう…。分かったわ、私が持っていく」


「ありがとうございます。すぐに食べ終わるので、その間に今から言う食材を私名義で貰ってきてくれますか?」


学生証を手渡しエレナに食材を言う。そんなに数は多くないので2度言えば覚えられたようで、学生証を私から受け取ってカウンターに向かっていった。


エレナには申し訳ない方法だが、こうするのが今の最適解だろう。


食事を食べ終わり食器を返却したあと、エレナを追いかけた。



大変お待たせしました。


そして次回からフェルトが暴走したり…しなかったり。

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