14・謎のテレパシー、みたいです
さて……どうしたものだろう。
こんな廊下にずっと立っているわけにもいかないし、かといって中に勝手に入るのも…そもそも鍵がかかっているし。
そう思案した直後、頭の中でフェルトの声が響いた。
『今、鍵開けたから。入って』
これは…テレパシー、だろうか。たしかに彼はそんな高等魔法も使えるが、そんなことをするなら直接出てきてくれてもいいのではないか。…っていうか、今私がここにいること、なんで知ってるの?ノックもしてないのに、まさか足音だけで?
あの寝起きの悪い彼がそんな、と首を傾げながら部屋に入る。
部屋の中はまだ暗く、ベッドそフェルトが寝息をたてていた。
じゃあ、あのテレパシーは何……?
謎に包まれたままのそれに恐怖を感じて身震いし、それを紛らわせるように、まだ寝ているフェルトの肩を揺らして起こそうとする。
「フェルト、起きてください」
「ん、ん…?メ………ル………?」
薄目を開いて私の姿を捉えると、とたんにふにゃりと頬を緩ませて、私の腕を引っ張り、そして。
「きゃ…っ、ちょっ、フェルト!?」
ベッドに寝転んだまま私を抱きしめてきたのだ。
フェルトは幸せそうに笑い声をあげて、抱き締める力を強める。……ねぇこれ、フェルト寝惚けてないよね?
「フェルト!」
「いっ、た!」
思い切り鳩尾を殴ると拘束は解けてフェルトもちゃんと正気に戻ったみたいだ。
「…さて、フェルト、朝食をつくってきますので、その間に着替えてください」
「ちょっ、ちょっとちょっと、今日のモーニングコールについては何も感想ないの?」
「あぁあれですか…」
気になったのは事実だし、朝からドヤ顔をしてるフェルトは鬱陶しいけど、聴くとしよう。
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