13・群青です
それから来た道を戻って寮に着く頃には群青一色に染まっていた。
立ち止まったって空を仰ぎ見る私を、フェルトは怪訝そうに覗き込む。
何事も無かったかのように視線を戻してフェルトに話しかける。
「夕食、なにがいいですか?」
返事を耳の端で流しながら、脳裏に映る群青と、この夜が止まって明日が来なければいいのに、なんて馬鹿げた思考を振り払った。
部屋に帰ると、エレナがうつぶせになって本を読んでいる。
この方にいうようなことではないのだが、今までの使用人という名の子守というかストッパーを務めてきた癖で窘めてしまう。
「そうね……」
意外にも彼女は素直に体勢を整え、綺麗な座り方に直す。
「で、婚約者となったフェルトと、やってけそう?」
「そうですね……」
実のところ、微妙だ。もちろん国のためになったりはするだろうが、なにより先に地球の危機が迫っているのだ。そんな大事なことを前に1人で逃げ出すわけにはいかない。
それを抜きにしたら、私はーーーーー
「メル?」
「う、ううん、大丈夫です」
憂鬱な朝に備えて布団に潜った。
朝、習慣のようにフェルトを起こしに行く。
そして、あることに気付いた。
「叫べない……」
そう、近所迷惑のためいつも使っていた叫び声が使えないのだ。
入学早々ピンチである。
読んでくださりありがとうございますm(_ _)m
これもしかして割り込みしたことに気づいてない方がいらっしゃるのでは、と思った。
次1回本編流したら番外編後編出します。