12・探索です
諸事情により閑話後編の前にこっちを先に投下します。順番間違えた…。
手を触っていたはいいが、よく考えたらこれ怒りを沈めるのには効果的でも結局スキンシップしてるから好感度操作的にはまずいんじゃ……?
でも今離したら怒りは再燃するのだろうし、どうしたものか。
あ、よく考えたら本編のオープニングって入学式からなわけだし、前日である今日はカウントされなかったりして?
そんなこじつけを信じたくなるくらいには、元従者の本能としてこと人を怒らせたくないのだ。地雷の位置がいまいち分からないこの人を同じ理由で怒らせるのは愚かだと言えよう。
「そ、そろそろ、探索しにいきましょうか」
撫でていた手を持ち替え歩けるような体勢にして繋ぎ直す。
少し名残惜しそうではあるが穏やかに口角を緩めている様子から、正解の行動だったはずだ。
こんな毎度びくびくしなければいけない生活があと3年プラス数ヶ月あるのかと思うと、入学してもいないのにいますぐ逃げ出したくなったのは内緒だ。
学生寮を出て、一番近くにあったのは図書館だ。門限ギリギリまで勉強できるように、との配慮だそうだ。学生は勉強しろと。えぇ分かります。
魔法学において必需品となる魔導書や座学の教科書などはもちろん、料理本や小説類も置いてある。この国ではあまり知られていない料理についてのものも多く、魔導書より借りに来たい代物だ。
「ねぇ、メル。毒味係は嫌だからね?」
料理本にゲテモノが混じっているのを目ざとく見つけたフェルトは私に先手を打ってきた。……くそう。
その声掛けは全力スルーをして戸惑うフェルトを引っ張り次の場所へ。
次に来たのは明日入学式が行われるホールだ。といっても今日は入れないのでスルー。
そして、そこからしばらく歩いたところに本校舎がある。
通う人数と釣り合わない大きすぎる校舎に、前世の記憶があると尚更呆れる。こんなにあったら移動するほうが大変だわ。
顔を顰めていると、丁度下校のチャイムが鳴り出した。
顔を見上げればもう橙色と群青が溶けだしていて、これから先を探索するのは中断。
「帰ろっか。今日の夜ご飯、メルが作ってくれるんだよね?」
「自炊してくれといいたいところですがもういいです、作りますよ」
平和な会話の背面で、運命が動き出す足音が鳴った。
読んでくださりありがとうございますm(_ _)m
相当無計画に書いてるので(大まかなプロットしかない)皆様にご迷惑をおかけしますが、どうぞこれからもよろしくお願いしますm(_ _)m