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教訓

「どの国も、王族は病気に掛かり易いですね」

「王、王子、股肱の重臣、皆、贅沢し過ぎ、欲張り過ぎだ」

「贅沢は病気に成りますか」

「王子が早く自分で贅沢したいと考えて王は病気になる。家臣が贅沢する為に第一王子は病気になり、王と奸臣の贅沢は忠臣の病気に成る。一人の男の贅沢をその嫡子が一括継承するか、妾腹の子が継ぐか、子の数だけ分配し続けるか、有能な家臣に禅譲するか、母系一族に運用させるか。匙一杯の贅沢の為に皆病気に成る」




「老王の益は」

「聡い事」

「では老王の弊はどうでしょう」

「一に無気力、怠惰。ニに贅沢、酒色。三に活発、元気。四に短気。五に責任転嫁。六に力の誇示、厳罰酷刑。七に自閉、隠遁隔世。八に劣等感。九に猜疑心。十に」

「もう結構です」




昔、キタカゼ男爵とクローメの太陽王が遊んでいた時、農民の娘が通ったのを見て言った。どちらが早く服を脱がせるか。では私からと言って、男爵は娘を怒鳴りつけた。服を脱げ、早くしないと税を倍にするぞ。娘は恐れて縮こまった。男爵はいらいらして服を引っ張るけれど、すみませんすみません、と言うばかりで埒が開かない。太陽王は朗らかに笑い、そうなっては時間が掛かるぞ、と言って首を刎ねた。また別の農民の娘が通りかかったので、次は俺の番だ、と言って太陽王は油を撒いて火を着けた。油を掛けられた農民の娘は「熱い熱い」と言って服を脱ぎ捨てた。それでも更に油を掛けられたから、もう脱ぐ服が無くて農民の娘は困った顔をした。その困り顔を見て二人は陽気に笑った。さすが太陽王、見事な知恵で御座います、キタカゼはビュウビュウおべっかを言った。


戦乱でも重税でもなく、遊びでさえ弱い者は巻き込まれて死ぬ。




酒場で酔った農民が言った。

「穀物を皆で分け合い、皆が平等で幸福だったらなあ」

隣の男が立ち上がり、隠していた短剣で農民の首を掻き切って言った。

「なかなか良い事を言うじゃないか。だが、お前の理論には剣が足りない」

太陽王はしばしば身分を隠して世直しをしたと云う。





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