22、終章
攫ったアッカーマン女に赤ん坊を産ませ、内臓をのけて炸薬を詰める。赤ん坊の顔がアッカーマン人に似ているので、アッカーマン兵には効き目抜群だった。多くのアッカーマン兵士は腕を失い精神的に参ってしまった。
するとワギナス国内に脳梅が蔓延するようになった。攫った女の中に紛れていたのか、赤ん坊製造工房の従業員から聖教会婦人部へ、そしてあっという間に教国全土へ拡まった。聖女らは聖職追放を恐れ医者へ賂し検査をくぐり抜けた。交合の一括管理のツケだった。
五体満足なクローメ国の兵隊が、腕を失った兵隊と、鼻を失った兵隊を散々に打ち破った。クローメ男子が賢者の教えを固く守ったからである。
少年バール・ロックウッドは元服後、顔危王の元へ出仕して官吏となった。王は青年を密かに恐れたが、愛してもいた為に粛清できなかった。クローメ国の騎兵大量動員戦略に対してワギナスもアッカーマンも旧世代の歩兵運用では抗う事はできなかった。やがて顔危王が大陸を統一すると、ロックウッドは官を辞して存子の注解を記した。悲運の人・ロバへ仮託した告発書・路罵経、乱世の実戦書・存子、治世における功利主義と人情の機微を綴った存子注解。これら三冊からビジネスの現場で役立つエピソードを抜粋したのがこの「最新ビジネス生存戦略・存子の兵法88」である。
知を持たぬ知者、腐った聖者がクローメ国中にはびこった。武人に武有らず、賢者に賢無し。ただ色欲を貪るだけの淫力魔人と成り果てた自称賢者達はあらゆる麦を食い尽くし終には自身の手足を胴を食らって消滅した。
我は在りて、汝の眉間に有り、我を恐れ汝を戒めれば百戦して危うからず、我を恐れず汝を戒めざれば百戦して古今の例を過たず。
儚きこと露の如し、儚きこと電の如し、儚きこと夢幻泡影の如し。文は霊を生じ、霊は人を育て、人に応じて文はかくの如く儚き世界をなす。
討つ者も、討たれる者も、去る者も、産まれる者も、応作如是観。
顔危王が末期のペニスを愉しんだ後に詠んだ辞世の句




