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賢者

マイトン掠地王という戦争好きの王がいた。将兵の士気は高く十年間ことごとく戦争に勝って領土を拡げた。ある日、王の居城へ賢者サルモンが招かれた。サルモンは開口一番にこう言った。

「王の後宮には、なんでも男がおらんそうですな」

「男はワシだけだ」

「はて、であれば王は女なのでしょうか。土地を幾ら手に入れてみても、蒔くべきタネの無くては将来はありません。水を遣らなければ芽を出しません。王は今千里四方を手中に収めておりますが、この地の民は飢えております。それはまるで女ばかり集めて肝心の男が居ない後宮と同様です」

「なるほど」

感心した王はサルモンを農務長官に任じた。領土をよく治めて彼の赴任中は一度も飢える民の居なかったと云う。


この賢者の故事を以って、畑があっても植える種の無い様を「マイトンの後宮」、女が居ても男の居ない様を「サルモンの畑」と言うようになる。また時代を経てこの故事ことわざが、胤主主義や男尊女卑へと繋がっていく事などは、王も賢者もあずかり知らぬ所である。




少年が言った。

「先生は女性の扱いが酷いですね」

「昔、男女が平等に扱われる国が在った。シェルザベール・バルバートリという女が必勝法を思いついた。B男に曰く、C男を殺して財産を私に献上しろ、成功したら性交させてやる。BはCを殺して財産を渡した。Bがまさにブラのホックへ手を伸ばした時、Dの棍棒がBの頭を砕いた。Dのズボンは隆起していた。Dが花束を渡そうとした時、Eの飲ませた毒でDが死ぬ。FがEを殺し、FはGに殺され、GがHに返り討ちにされ、HがIを殺す。成功できるなら狼煙も上げる殺し合う。JはHを殺す。シェルザベールが眉を顰めるだけで男達は殺し合う。KはJを殺す。拒否できない。拒否するのは首を吊って死ぬのと同じだ。初めから産まれていないのと同じだ。充分に財産を手に入れたシェルザベール・バルバートリは女Lを殺せと告げた。それでようやく男達は目が覚めた。シェルザベールを殺したMとNは成功した。男女の平等は、皆が常に刃物を持って切り合う平等、男女の不平等は、皆が法典と良識を持っている平等である。そして女を殺害して、法を整備した二匹の絡み合う蛇MとNの事を、賢者と呼ぶ。賢者とは女を殺害できる者の事だ」




「友人が『俺はロバだ』と変な事を言い出しまして。自分をロバだと思い込んでいるようです」

「ええ」

「干し草を食べたりしています」

「それで、その御友人は、どちらに?」

青年は部屋に一頭のロバを連れて来る。

「友人です」

ロバはいなないた。




ダンディな男と愛らしい少年とロバが旅をしていた。ある時、「せっかくのロバなんだから乗ったほうが良い」と言う者がおり、それもそうだと思って、その日ロバは少年に乗った。また旅を続けていると、中年女性が「男は若い方ばかり可愛がる」と愚痴っているのを聞いて、その晩はダンディな方に乗った。旅を続けていると、一人の少女が二人の男の子に海へ行って遊ぶか山へ行って遊ぶか問われて困っていた。その晩ロバは少年とダンディな男と二人に乗った。またある日、荷の積み過ぎで車軸が折れ、立ち往生している馬車がいた。その夜は星を見て過ごした。また旅をしていると、労働者をおんぶした王様や貴族や富豪を見かけた。命じられるままに右へ行ったり左へ行ったり、労働者がふざけてなぞなぞを出すと気前良く答えてやり、労働者が逃げて木へぶら下がると、木から下ろして背負い直していた。ダンディな男と愛らしい少年はロバへ乗った。ロバはバターを出し過ぎて死んでしまった。




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