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11、戦国三国

尊王クリム・アッカーマンに仕える宮廷道化師のボー・ディービルと、その友人にして再分配業者、泥棒のダム・ビーウィルが馬を並べて相談していた。王の宝物庫へ手引きしてやるから、儲けの九割をよこせ、いや半々が良い所だ、欲張るのはいけない、どっちが欲張りだ、手引き無しで這入れるのか、それでも四六だ、ニ八で許してやる、四八で行こう、そうしよう。相談がまとまって日の落ちた頃、宝物庫へ潜入した。事は上手く進んでいた。しかし道化のサガ、大きな屁を出したので見張りの兵に見つかった。道化は素早く逃げおおせたが、宝物庫の中の泥棒は敢え無く捕縛された。王はカンカンに怒って、泥棒へ鞭打ち三十を処すよう命じた。泥棒は鞭打たれ、悲鳴を上げた。鞭が十一を打とうとした時に「残りの鞭は道化の取り分」と叫んだので、王に尋問されて泥棒は計画を白状した。驚いた道化はその場で良い香りの屁をニ十ひったので、王は笑って道化を許した。

その時、見張り塔へ向かって旅のロバが告げた。倒れた、ユーテロトピアが倒れた。皆、ロバを気違いだと言って、道化の香りを楽しんだ。獅子は唸った。ロバは立ち去った。




わしとそのほう、どちらが賢いか

なぜ

王は賢者を召抱えておりますが、臣は愚者に仕えております




酒場の男が言います。この国の王はまるで馬鹿野郎だ。それでたまらず臣はその男へ言いました。今の発言を取り消せ、と。

王は道化の意外な忠誠心に気を良くして、話の続きを促した。

男が慌てて言います。あんたもしかして、国王の関係者かい。臣は言いました。俺は馬鹿野郎だ、あんな奴と一緒にするんじゃねえ。




占い師の女がジョンザ・コンカー将軍に言った。初代教王の産まれる前の話だ。森で最も恐れられているのは、虎か狐か。将軍は答える、虎。占い師は言う。狐で御座います。狐はいつも虎の前を歩き、動物はみな恐れ、それを見ていた虎も動物達は狐を恐れていると勘違いします。今将軍の武名は天下に轟いておりますが、一体どうして狐を恐れますか?

ジョンザ・コンカーは、主君のユーテロ大公を討った。ワギナス国は、ジョンザ・コンカーをそのルーツとし、七年間の七つの内戦における七英雄の活躍と七賢者の助言によって、建国された。




七つの内戦、七人の英雄、七賢者。そして聖ワギナス神。これらは神聖ワギナス教会の創作したストーリーであって、事実ではない。だが正史を好む者は、光の神の加護によって英雄が活躍するストーリーを歴史的事実と呼ぶ。相対性、不安定性を受け入れるよりも、自身の絶対性を正史へ投射する為だろう。「これとは辻褄が合わない」「この資料とは撞着する」こういう言い方なら分かる、けれど「辻褄が合わないならお前が間違っているに決まっている」と言う事が理解できない。勿論「ワギナス教の規範に沿わない」なら解る。




淫売は馬鹿にされ、石を投げられた。

第七の英雄ソーヤ・トーヤは言った。

「お○こをした事の無い者のみ、石を投げよ」

若者らは一斉に石を手放した。




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